AIテレアポに任せる範囲|台本どおりに終わる電話だけを渡す
大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。
大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。
「AIに架電を任せれば人手不足が解決する」と聞くが、どこまで任せていいのかがわからない。この記事では、AIと人の線引きをどこに引くか、導入前に数えておく数字は何か、効果をどう測るかを整理します。600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。
AIテレアポの検討でつまずくのは、たいてい「どの業務を任せるか」を決めようとしたときです。一次架電はAI、商談は人という分け方は各社の説明でも見かけますし、間違ってもいません。ただ、これだけでは自社の電話に当てはめられないでしょう。
先に答えを言います。線引きは業務の名前で引かず、その通話が台本どおりに終わるかどうかで引いてください。台本どおりに終わる電話はAIに渡せます。途中で台本から外れる電話は、外れた瞬間から人の仕事になります。
・ 「導入を検討したが、結局どこから手をつけるのか決まらないまま止まっている」
・ 「架電数は増えたのに、商談の数はほとんど変わっていない」
・ 「相手にAIだと気づかれて切られるのではないか、という声が社内から出た」
この記事でわかること
ツールの比較はしません。導入する側が自社で判断するための材料だけを書きます。読み終えたときに、次のことが決められる状態を目指しました。
| この記事で決められること | |
|---|---|
| 決めること | 判断の基準 |
| どこまで任せるか | その通話が台本どおりに終わるかどうか |
| 導入するかどうか | いまの架電のうち、台本どおりに終わっている通話の割合 |
| 効果が出たかどうか | 架電数よりも、商談化率と受注までの月数 |
AIテレアポでできること
まず、いま提供されているサービスでできることを押さえます。ここは各社の説明でほぼ共通しているので、表で確認するだけにとどめてください。
| できること/苦手なこと | |
|---|---|
| できること | 苦手なこと |
| リストに沿った自動発信と、不在時のかけ直し | 相手の声色や間から、迷いや不機嫌を読み取ること |
| 受付での取り次ぎ依頼と、担当者名の聞き取り | 想定していなかった質問に、その場で答えを組み立てること |
| 通話の録音、文字起こし、結果の自動記録 | 相手の話から、本人も言葉にしていない課題を引き出すこと |
| 日程の候補提示と、担当者への引き継ぎ | 前回の会話をふまえて、今回の入り方を変えること |
左右を見比べると、できることには共通点があります。あらかじめ手順が決まっている作業です。苦手なことにも共通点があります。手順の外側にある判断です。ここが線引きの手がかりになります。
線引きは台本から外れる場面で引く
XtoXの支援では、実際にアポになった架電の音源を集めています。2025年12月から集め始めて、いまはクライアント別に25件を超えました。これを通して聞くと、あることに気づきます。
決まった通話は、途中で台本から外れている
アポになった通話の多くは、最初の30秒までは台本どおりに進んでいます。ところが、相手が何かを言った瞬間に台本から外れます。「そういえば来月、担当が変わるんですよ」「前に似たようなのを入れて失敗しましてね」といった一言です。これを拾えたかどうかで、その通話の行き先が変わっています。
逆に言えば、最後まで台本どおりに進んだ通話は、そのまま終わっています。良くも悪くも予定どおりです。つまり、台本どおりの部分はAIに渡しても失うものがありません。台本から外れた先が人の持ち場です。
業務の名前で分けると失敗する
「受付突破まではAI、担当者が出たら人」という分け方をよく見かけます。目安としては使えますが、そのまま運用すると取りこぼします。受付の段階でも、相手が「その件でしたら別の部署です」と言った瞬間に台本から外れているからです。
見るべきは、通話のどの段階かという区切りよりも、台本に書いていない言葉が返ってきたかどうかです。ここを引き継ぎの合図に設定できるかどうかを、サービスの選定時に必ず確認してください。
XtoXの現場から
成功した架電の音源は1件あたり3分から5分ほどで、25件を聞き通すのに2時間かかりません。ある支援先でこの作業を一緒にやったところ、営業部長が「うちの新人は、この外れたところで黙ってしまう」と言い出しました。そこから話が、AI導入の是非から新人教育の設計へ移っています。導入を検討する前に音源を聞くと、そもそもの課題が違うところにあったと分かることがあります。ただし、この作業は録音が残っている会社しかできません。録音がない場合は、まず通話の録音を始めるところからになります。
導入前に数えておく数字
線引きの考え方が決まったら、次は自社の電話がどちら側に寄っているかを数えます。数えるのは1つだけです。いまの架電のうち、台本どおりに終わっている通話が何割あるか。
数え方の手順
1週間分の架電記録を出して、1件ずつ印を付けていきます。台本に書いていない言葉が返ってきた通話に印を付け、最後まで台本の範囲で終わった通話には付けません。100件でおよそ30分の作業です。
印の付かない通話が大半なら、AIに渡せる部分が多いという判断になります。印だらけなら、任せられる範囲は狭く、導入しても人の待機時間が増えるだけになりかねません。この数字を見ずに契約すると、初期費用と月額を払ったあとで気づくことになります。
数える前にやること
前提として、台本がなければこの作業はできません。台本が頭の中にしかない状態なら、先にそちらを形にしてください。作り方はテレアポのトークスクリプトの作り方にまとめています。断られたときの返し方についてはテレアポの切り返しもあわせてご覧ください。
効果は架電数で測らない
導入したあと、報告に上がってくるのはたいてい架電数です。人手では1日に数十件だったものが数百件になった、という数字が並びます。これは事実ですが、事業の成果とは別の話です。架電数は増えて当然だからです。
月次レポートの行を分ける
XtoXがクライアントと見ている月次のレポートでは、施策ごとに行を分けて、その行ごとにアポ数、商談化率、受注、受注までにかかった月数まで並べます。AIを入れたら、この表に「AI経由」と「人経由」の行を追加してください。同じ列で並べると、比べられる形になります。
| 月次レポートに足す行と列 | |||
|---|---|---|---|
| 行 | アポ数 | 商談化率 | 受注までの月数 |
| AI経由 | 増えやすい | ここが下がると意味がない | 伸びていないかを確認 |
| 人経由 | 比較の基準になる | 同上 | 同上 |
見るべきは商談化率と、受注までにかかった月数です。アポの数が2倍になっても、商談化率が半分になっていれば商談の数は変わっていません。商談化率の測り方は商談化率の平均値は比べられないで、分母の決め方から書いています。
通話ログの一番の使い道
AIを入れると、全通話の文字起こしがたまります。各社がこれを分析機能として説明しますが、いちばん効くのは別の使い方です。人が話す台本を直す材料にすることです。
AIは同じ台本で何百件もかけます。人がやると1日数十件で、話し方も日によって変わります。条件がそろっているぶん、どの言い回しで切られやすいかがはっきり出ます。そこを人の台本に反映させると、AIの成果より先に人の成果が動くこともあるでしょう。
XtoXの現場から
1週間分の架電記録に印を付ける作業は、100件でおよそ30分です。ある支援先では月曜の朝に30分だけ枠を取り、前週分を2人で見る形にしました。3週目に入ったころ、印の付いた通話に同じ業種が固まっていることが分かり、その業種だけ台本の冒頭を差し替えています。手間としては週30分ですが、続けるのが難しい作業でもあります。担当者が1人だと、忙しい週から抜けていきました。2人で見る形にしたのはそのためです。
向かないときは見送る
台本どおりに終わる通話が少ない会社、商材の説明に画面が要る会社、リストが小さく数百件しかない会社は、いま入れても回収が難しくなります。台本を整え、リストを広げてからのほうが確実でしょう。人を増やすかどうかで迷っている場合は、テレアポは時代遅れ?で判断の手順を書いていますので、そちらを先にご覧ください。
導入前チェックリスト(8項目)
| 契約書にサインする前に埋める8項目 |
|---|
| □ 台本が文字になっている |
| □ 1週間分の架電に印を付け、台本どおりに終わった割合を出した |
| □ 台本から外れたときに人へ引き継ぐ合図を設定できるか確認した |
| □ 引き継ぎを受ける人の待機時間を、誰の工数として見るか決めた |
| □ 月次レポートに「AI経由」「人経由」の行を足した |
| □ 見る指標を、架電数から商談化率と受注までの月数に変えた |
| □ 契約期間の縛りと、途中でやめる場合の条件を確認した |
| □ かけてはいけない相手を除く仕組みと、架電する時間帯の制限を確認した |
よくある質問
AIだと気づかれませんか?
気づかれる前提で設計してください。自然さは年々上がっていますが、相手が身構えた時点で台本から外れています。そこで人に替わる仕組みがあるかどうかのほうが、音声の自然さより効きます。契約前にデモで実際の音声を聞かせてもらってください。
人は要らなくなりますか?
要ります。引き継ぎを受ける人が待機している必要があるためです。待機している時間も人件費なので、そこを見込まずに費用を試算すると、思ったほど下がりません。
インサイドセールスとは違いますか?
役割が違います。AIが担うのは接触の手前までで、見込み客を育てる部分は残ります。役割の定義はインサイドセールスとはにまとめました。
小さく試せますか?
試せる形のプランを持つサービスもあります。ただ、初期の設定とシナリオ作りに工数がかかるため、短い期間では判断がつきません。試すなら、印を付ける作業を先に済ませ、どのリストで試すかを決めてから始めてください。
まとめ:任せる範囲は台本が決める
AIテレアポを入れるかどうかは、ツールの性能で決まりません。決めるのは自社の台本です。台本どおりに終わる通話が多い会社ほど任せられる範囲が広く、外れる通話が多い会社ほど人の出番が残ります。だから、比較検討より先に、いまの架電に印を付ける作業をおすすめしています。
導入したあとも見る数字は変わりません。架電数が何倍になったかではなく、商談化率が保たれているか、受注までの月数が伸びていないか。そして、たまった通話ログを人の台本に返せているか。この3点を月次で追えていれば、投資として判断できる状態になります。
印を付ける作業は単純ですが、台本が整っていないと途中で止まります。XtoXでは600社以上の戦略設計と200社を超える導入実績をもとに、台本の整理から効果の測り方まで一緒に組み立てています。ツールを決める前の段階からご相談ください。
本記事の引用・転載を歓迎します。引用の際は「株式会社XtoX」の社名と本記事URLの明記をお願いします。
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