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商談の準備でやること|聞けなかったことを数えて、次の準備を決める

  • BtoB
監修
中尾 大也
株式会社XtoX 代表取締役社長 中尾 大也

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

「調べることが多すぎて、どこまでやれば終わりなのかわからない」。商談の準備でやることを4つに畳んだうえで、材料の集め方、メモの書き方、商談後に1つだけ数えて次の準備を決める手順まで、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    営業職200名への調査では、準備ができていないときの商談成功率の平均は28.8%、しっかり準備できているときは61.4%でした。差は2.1倍です。ところが同じ調査で「常に準備をしている」と答えた人は33.0%にとどまり、残りの67.0%は毎回はできていないと答えました。出典は株式会社UKABUの「商談準備に関する実態調査」です。

    効果がわかっているのに、半分以上の人が毎回はできていません。この落差の理由は、準備の項目を知らないことにはありません。現場でうかがうのは、こういう声です。

    ・ 「調べることが多すぎて、どこまでやったら終わりなのかがわからない」

    ・ 「準備したつもりで臨んだのに、当日はまったく違うことを聞かれた」

    ・ 「次の商談まで30分。この時間で何をすればいいのかが決められない」

    準備の項目は、すでに世の中に出そろっています。足りないのは、やった項目を数える代わりに、外した項目を数えるしくみのほうです。この記事では、商談の準備でやることを4つに畳んだうえで、材料の集め方、メモの書き方、そして商談が終わったあとに1つだけ数えて次の準備を決める手順までをまとめました。600社以上の戦略設計と200社を超える導入支援を行ってきたXtoXが解説します。

    準備の項目はすでに出そろっている

    商談前の準備を扱う記事を並べて読むと、示される項目の数は7つから17までとばらばらです。ただ中身はほとんど同じで、次の4つに畳めます。

    商談前の準備でやること(4つに畳んだ形)
    区分 中身
    相手を調べる 事業内容、拠点、直近のニュースやプレスリリース、担当者の部署と役職
    仮説を立てる 業界の動きと競合の状況から、相手が困っていそうなことを言葉にしておく
    聞くことを決める 当日確かめる項目と、その順番。商談が終わった時点の着地点もここで決める
    出すものをそろえる 提案資料、近い業種の事例、想定される質問への答え、前日のアポイント確認

    この4つに漏れがあれば足せば済みます。問題は、ここから先です。項目を増やしても、商談の中身は思ったほど変わりません。理由は単純で、どの項目も「やったか、やっていないか」しか判定できないからです。全部やって外すこともあれば、3つだけで決まることもあります。

    ここから先で扱うのは、項目の数を増やす方向とは別の3つです。準備の材料をどこから取るか、メモをどう書くか、そして準備の当たり外れをどう確かめるか、の順に進めます。

    材料はアポを取ったときの通話にある

    準備を「調べる作業」から始めると、公開されている情報しか集まりません。会社の沿革も、拠点の数も、プレスリリースも、相手の会社の外側にある情報です。商談で効くのは、相手が自分の口で言った言葉のほうです。

    XtoXでは、実際にアポイントにつながった架電の音源をためて、支援先ごとに聞き返しています。そこで繰り返し出てくるのは、承諾の直前に相手が自分から状況を一言もらす場面です。「ちょうど今期から人が減っていて」「以前に一度検討して、そのままになっている」「上には話してみないとわからないのですが」といった一言です。ここに、その商談で確かめるべきことがほぼ出そろっています。

    つまり準備の出発点は、検索よりも前工程の記録のほうにあります。アポイントを取った通話、問い合わせフォームに書かれた本文、展示会で交わした立ち話が材料です。ここから拾うのは3つで足ります。

    ・ 相手が、こちらが聞く前に自分から言った困りごと

    ・ 相手が使った言葉づかい(社内での呼び名や、業務の言い回し)

    ・ いったん断りかけた理由、あるいは迷った理由

    3つめを拾う会社は多くありません。断りかけた理由は、その相手が商談の場でも同じように引っかかる点です。当日その話が出てから考え始めると、答えるまでに間が空きます。

    アポイントを取る担当と商談に行く担当が分かれている場合は、この3つを引き継ぎの様式に固定してしまうのがいちばん早い方法です。引き継ぎの設計そのものについてはインサイドセールスとフィールドセールスの違いもあわせてご覧ください。

    XtoXの現場から

    内勤が取ったアポイントを外勤が引き継ぐ体制のご支援先で、引き継ぎメモが1行だけという状態が続いていた時期がありました。結果として、商談の最初の15分が「どういう経緯でしたっけ」の確認に消え、提案に入る前に時間が来て次回へ持ち越す回が続きました。そこでメモの欄を3項目(相手が自分から言ったこと、相手が使った言葉、迷った理由)に固定し、週1回30分の引き継ぎの場で読み合わせる運用に変えています。変えたのは書く欄だけです。項目の数はそのままにしています。

    準備メモは事実と解釈を分ける

    準備でいちばん起きやすい事故は、調べる量の不足とは別のところで起きます。調べたことと、自分が推測したことが、メモの上で混ざることです。

    混ざったまま商談に入ると、推測が断定の形で口から出ます。「御社は人手不足でお困りですよね」と切り出して、「いえ、人は足りています」と返された経験のある方は多いはずです。そこから場を立て直すのに使う時間は、準備で削れたはずの時間よりずっと長くなります。

    XtoXのコンサルタントが守る60箇条には、「事実と解釈を分ける」という項目があります。会議の発言でも、報告書でも、どこまでが確かめられた話でどこからが自分の読みなのかを必ず分ける、というルールです。これを準備メモにそのまま持ち込んでください。

    準備メモの2つの欄
    書き方と、商談での使い方
    事実の欄 出どころが言える話だけを書きます。公開情報、相手が実際に言った言葉、過去のやり取りの記録。商談では言い切って使えます。
    解釈の欄 こちらの読みを書きます。ここは平叙文にせず、そのまま口に出せる質問文の形にしておきます。商談では確かめる側に回ります。

    解釈の欄を質問文で書いておくと、当日の言い回しをその場で組み立てずに済みます。手間が減るのは当日の自分です。「今期から人が減っているのではないか」ではなく、「今期に入ってから、人の増減で変わったことはありますか」と書いておきます。外していれば相手が訂正してくれますし、当たっていればそこから話が深まります。

    この書き分けには副作用もあります。事実の欄が3行しか埋まらない日は、そもそも相手のことを何も知らないまま商談に向かおうとしている合図です。その場合は資料をそろえる時間を削って、事実を集める側に振り直します。

    商談のあとに1つだけ数える

    ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。準備の当たり外れは、当日の手応えでは判定できません。話が盛り上がった商談が受注につながらないことは、どの営業組織でも起きています。

    数えるものは1つで足ります。聞くつもりだったのに、聞けなかった項目の数です。準備の段階で「今日確かめること」を書き出しているので、商談が終わった直後に照らし合わせれば、5秒で数えられます。

    この数え方を勧める理由は3つあります。

    1つめは、準備の質を後から確かめられる唯一の数字だからです。調べた時間の長さも、集めた情報の量も、成果とのつながりが見えません。聞けなかった項目は、準備で決めた計画と当日の結果の差そのものです。

    2つめは、個人の感覚に左右されないからです。「うまくいった」「手応えがあった」は人によって基準が違いますが、聞けた項目と聞けなかった項目は誰が見ても同じ数になります。

    3つめは、次にやることが自動的に決まるからです。同じ項目が何度も空欄になっていれば、その項目は準備よりも、商談の中で聞く順番のほうに原因があるとわかります。

    記録に使うのは、いま手元にある案件の進捗管理表です。列を足すだけで足りますので、新しい表は作りません。

    進捗管理表に足す3つの列
    入れるもの 入れるタイミング
    聞けなかった項目 準備で決めた項目のうち、当日ふれられなかったもの 商談の直後
    聞けなかった理由 時間切れ、話の流れ、相手が答えられる立場になかった、など 商談の直後
    いつ聞くか 次回の商談、メール、電話のどれで確かめるかと、その日付 商談の直後

    月に1回、10件ぶんを並べて見ます。すると、空欄が散らばらずに同じところへ集まっていることに気づきます。多くの組織で集まるのは、予算の話と、社内で誰が決めるのかという話の2か所です。どちらも聞きにくい項目で、後回しにしているうちに時間が来ます。

    集まった項目が見えたら、対処は準備を厚くする方向には向けません。商談の中で聞く順番を前に動かします。準備の欄を1行足しても、聞きにくさは変わらないからです。案件の確度を段階で管理する考え方についてはヨミ表の作り方もあわせてご覧ください。

    XtoXの現場から

    あるご支援先で、この列を足して2か月ぶんを並べたところ、決裁の流れに関する欄が半数近くの案件で空欄のままでした。担当者の方に理由をうかがうと、「話の流れで聞きそびれる」というお答えがそろいました。そこで商談の冒頭5分に、進め方の確認としてこの質問を移しています。準備の項目は1つも増やさないままです。順番を変えただけで、空欄はその月のうちに減りました。

    準備の時間は上限を先に決める

    先ほどの調査では、1商談あたりの準備時間は平均でおよそ43分でした。1日に3件の商談があれば2時間を超えます。準備ができない理由の1位が「時間が足りない」だったのも、この計算をすれば当然です。

    上限を決めないまま「しっかりやる」を目標にすると、忙しい週にはまるごと飛びます。30分と決めて、内訳まで決めてしまうほうが続きます。

    ・ 前工程の記録を読む……10分

    ・ 事実の欄と解釈の欄を書く……10分

    ・ 聞く順番と、商談の着地点を決める……10分

    移動中で10分しか取れない日もあります。その場合に残すのは、着地点を1つ決めることと、相手の最新のニュースを見出しだけ確認することの2つです。調べる量が減っても商談は進みますが、着地点がないまま入った商談は雑談で終わります。

    2回目以降は前回の未決から組む

    商談前の準備を扱う情報の多くは、初回の商談が前提です。実際には、受注までの回数が2回で済むことはあまりありません。2回目以降の準備を初回と同じ手順でやると、調べ直しに時間を使って、肝心の論点が動かないまま回数だけが増えます。

    2回目以降は、前回終わっていない論点を先に書き出すところから始めてください。持ち帰りになった質問、保留になった条件、相手が社内に確認すると言った事項の3つが対象です。書き出したら、そのうち今日決めるものを1つ選びます。

    選んだ1つは、着地点として言質と期日の形で書いておきます。「導入時期の目安を今日いただく」「次回に決裁者の同席をお願いして、日程まで決める」というところまで具体にしてください。この形で書いておくと、商談の終わり方が変わります。相手の反応を途中で確かめながら進める方法はテストクロージングとはをご覧ください。

    なお、ここまでの進め方が向かない商談もあります。1回の商談で完結する商材や、相手が個人のお客様で検討期間が短い場合は、準備を厚くするより件数を増やしたほうが成果は出ます。前工程の記録と事後の1列は、検討に複数の人が関わる商談でこそ効きます。

    商談前チェックリスト(12項目)

    商談の前に確認する12項目
    □ アポイントを取った通話やフォームの記録を読み返した
    □ 相手が自分から言った困りごとを書き出した
    □ 相手が使った言葉づかいをそのまま控えた
    □ 断りかけた理由、迷った理由を確認した
    □ 事業内容と直近のニュースを1件は見た
    □ 担当者の部署と役職を確認した
    □ メモを事実の欄と解釈の欄に分けて書いた
    □ 解釈の欄を、そのまま話せる質問文にした
    □ 今日確かめる項目と、その順番を決めた
    □ 商談の着地点を、言質と期日の形で1つ書いた
    □ 近い業種の事例と、想定される質問への答えを用意した
    □ 前日までに日時、場所、参加者をお客様と確認した

    上から順にやらなくても大丈夫です。30分しかない日は、上の4項目と下から3項目に絞っても商談は成立します。

    よくある質問

    準備は何分あれば足りますか?

    30分を上限の目安にしてください。調査では平均でおよそ43分かかっていますが、1日に複数件の商談がある営業では続きません。10分しか取れない日は、着地点を1つ決めることと、相手の最新のニュースを見出しだけ見ることの2つに絞ります。

    どこまで調べれば十分ですか?

    相手が言った言葉を3つ書き出せて、そこから質問文が3つ作れれば十分です。調べる量ではなく、質問に変換できたかで判定してください。上場企業が相手であれば、中期経営計画の目標と現状の差を1つ見つけておくと、質問の深さが変わります。

    初回商談のゴールは何ですか?

    相手の課題を確かめることと、次に何をいつやるかを決めることの2つです。初回で契約まで進める商材でなければ、提案の完成度よりも、次の予定を日付で決められたかを見てください。

    準備できずに当日を迎えたら?

    その場合は取り繕わず、冒頭で相手に確認する時間をもらいます。調べればわかることを聞くのは避けたいところですが、知ったふりで進めて外すほうが影響は大きくなります。商談後に、聞けなかった項目を必ず記録しておいてください。

    チームで準備をそろえるには?

    個人の努力に任せず、書く欄を決めることから始めます。引き継ぎのメモを3項目に固定して、進捗管理表に聞けなかった項目の列を足します。この2つだけで、準備の質は組織の中で比べられるようになるのです。会議での扱い方は効果のある営業会議の進め方を参考にしてください。

    まとめ:準備は増やすより、外した項目から直す

    商談前の準備でやることは、相手を調べる、仮説を立てる、聞くことを決める、出すものをそろえる、の4つに畳めます。ここに項目を足していっても、当日の結果は思ったほど動きません。

    動くのは、材料の取り方と、終わったあとの数え方を変えたときです。材料があるのは、アポイントを取った通話や問い合わせの本文です。メモは事実の欄と解釈の欄に分け、解釈はそのまま話せる質問文にしておきます。そして商談のあとに、聞けなかった項目を数えて記録します。月に10件も並べれば、自分たちがいつも外している項目が見えてきます。

    あなたの会社では、先週の商談で聞けなかったことを、いま何件言えるでしょうか。

    商談の準備から記録の残し方まで、営業の進め方を組織として整えたいとお考えでしたら、一度ご相談ください。XtoXが600社以上の戦略設計で積み上げてきたのは、商談の設計と数値の管理をあわせて整える進め方です。現状のうかがいから無料で承ります。

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