インサイドセールスとフィールドセールスの違い|役割分担と引き継ぎの進め方
大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。
大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。
「渡したはずの案件が、商談の場で一から聞き直しになる」。この記事ではインサイドセールスとフィールドセールスの違いを役割分担の面から整理し、引き継ぎの進め方まで、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。
営業を2つに分けたあと、渡した先で話がどこまで進んでいるか、把握できているでしょうか。
インサイドセールスとフィールドセールスの違いは、どの解説を読んでも同じ説明にたどり着きます。前者が商談の手前を担い、後者が提案から受注までを担う。訪問するかどうかで分かれているわけではない、という整理です。ここは5分もあれば読み終わるでしょう。
実際に困るのは、分けたあとに起きることのほうでしょう。
「渡された商談で、聞いたはずのことをもう一度聞かれたとお客様に言われました」
「失注の理由が渡した側に戻ってこないので、同じ外し方を繰り返しています」
先に結論を書きます。分業がうまく回るかどうかは、引き継ぎを書類で済ませるか、15分の場として工程に置くかで決まります。この記事では違いを表1つで整理したうえで、その15分の作り方を説明しました。
何が違うのか
2つの違いは、担当する工程にあります。オンライン商談が当たり前になったいま、場所で区別しようとすると説明がつかなくなるでしょう。
| 2つの役割の違い | ||
|---|---|---|
| 項目 | インサイドセールス | フィールドセールス |
| 担当する工程 | 接点づくりから商談が成り立つ状態まで | 提案から受注まで |
| 相手の状態 | 課題がまだ言葉になっていない | 課題が言葉になっている |
| 主な手段 | 電話・メール・オンライン商談 | 訪問・オンライン商談 |
| 主な指標 | 渡した商談の数と、受け取られた数 | 受注の数と金額 |
それぞれの役割の詳細はインサイドセールスとはにまとめました。なお、電話をかける行為そのものを指すテレアポは手段の名前なので、この2つと並べて比べる関係にはありません。
分けると起きること
分業の利点は、それぞれが自分の工程に集中できることです。移動の時間が減り、1日に接触できる件数も増えます。体制の組み方には、育成から選別までを前半が担う形、商談まで一人で完結させる形、相手の規模で使い分ける形があり、扱う商材と単価で選び分けます。
ここまでは他の解説記事と同じ内容です。問題は、この先で起きることのほうにあります。工程を分けた瞬間、それまで一人の頭の中にあった情報が、2人のあいだを移動する対象に変わります。移動のさせ方を決めていなければ、そこで抜け落ちるでしょう。
引き継ぎを15分の場にする
XtoXが支援先と組み立てる進め方では、契約後の会議とは別に、方向づけの工程を1つ置いています。作った計画を実行する人へ渡す場で、ここを飛ばすと計画どおりに動かないからです。営業の分業でも、同じ工程が必要になります。
書類だけでは渡らないもの
管理ツールに入力すれば引き継げる、と考えられがちです。ところが実際に渡らないのは、記録できる事実のほうではありません。その事実をどう受け取ったかです。「予算はまだ決まっていない」という一文は残せますが、それを相手がどんな調子で言ったかは残りません。渋ったのか、あっさり言ったのかで、商談での聞き方が変わります。
15分で話すこと
渡す側と受け取る側が、商談の前に15分だけ話す時間を取ります。長くする必要はありません。この時間で扱うのは次の4つだけです。
| 引き継ぎの15分で話す4つ | |
|---|---|
| 話すこと | 具体的に |
| 相手が言った言葉 | 要約せず、言われたまま読み上げる。言い方の調子も添える |
| まだ聞けていないこと | 聞こうとして流れた質問を1つか2つ。商談で拾い直す |
| 誰が出てくるか | 同席する人の名前と役職。分からない場合はその旨を共有する |
| 商談で決めたい状態 | この商談の終わりに何が決まっていればよいか。受注そのものは置かない |
4つ目が抜けやすいところです。商談の目的を受注に置くと、決まらなかった日はすべて失敗になります。「次に会う日と、そこに出てくる人が決まっている」という状態を目標に置くと、進んだかどうかを両方の担当者が同じ基準で判断できます。
XtoXの現場から
最初は引き継ぎを管理ツールの入力だけで済ませていました。項目はきちんと埋まっていたのですが、商談に同席すると、渡した側が聞いていた話と受け取った側の理解がずれている場面が続きました。
いまは商談の前日か当日の朝に15分を取り、上の4つを口頭で確認しています。導入した週は「時間が惜しい」という声が出ましたが、1か月ほどで商談前の確認として定着しました。時間を取れない日は、相手が言った言葉の読み上げだけでも実施する運用にしています。
受け取った側の最初の10分
引き継ぎが済んだあと、商談の入り方にも決めごとを置いておきます。XtoXが現場で共有しているノウハウのひとつに、商談は聞くのが8割という考え方があります。渡された情報が多いほど、この原則は崩れやすくなるでしょう。
引き継ぎを受けた担当者は、前もって相手の課題を知っているぶん、最初から提案を始めたくなるものです。ところが相手からすると、まだ一度も話していない人がいきなり自分の課題を語り出す状態です。ここで温度が下がります。
対策は単純で、最初の10分は聞くことに使うと決めておくことです。すでに知っている話でも、本人の口からもう一度聞きます。「先日こう伺っていますが、いまも同じ状況でしょうか」と確認する形なら、二度手間の印象にもなりません。むしろ引き継がれていることが相手に伝わります。
失注を戻す道を作る
分業でいちばん詰まりやすいのが、商談後の情報の流れです。渡す方向の設計はされていても、戻す方向は決められていないことが多いためです。
決めておくのは2つだけで足ります。1つは、失注したときに理由を1行で書いて渡した側に返すこと。もう1つは、その理由を月に1回まとめて読む時間を作ることでしょう。1件ずつ返しても、受け取った側は個別の出来事としてしか扱えません。月に1回並べると、渡す基準のどこがずれているかが見えます。
案件をどう残すかはヨミ表の作り方、数え方でつまずいている場合は商談化率の分母の決め方を参考にしてください。
XtoXの現場から
失注の理由を返す運用を始めた当初、書かれた内容が「予算が合わなかった」ばかりになった時期がありました。理由の欄を自由記述にしていたためです。いまは商談で相手が実際に言った言葉をそのまま書く欄に変えています。「今期は別の投資が決まっている」と書かれていれば、時期を変えて連絡し直す判断ができます。分類してしまえば、その判断材料は消えてしまうでしょう。
同じ会議で並べて見る
指標は役割ごとに別のものを持ちます。渡す側は商談の数、受け取る側は受注の数と金額です。ここは分けたままで構いません。
分けてはいけないのは、それを見る場のほうです。別々の会議で報告していると、渡す側は件数を作ることに、受け取る側は確度の高い案件だけを求めることに向かい、対立が生まれます。月に1回でよいので、両方の数字を同じ場で並べてください。渡した商談のうち何件が受注に至ったかを一緒に見ると、件数と質のどちらが崩れているかが分かります。
分けないという選択
最後に、分けない選択肢にも触れておきます。相手がその場で決められる商材や、社員が数十名までの会社では、工程を分けると引き継ぎの手間だけが増えることがあります。
その場合は、人ではなく時間を分ける形が現実的です。午前は接点づくりと追いかけの連絡、午後は商談、というように担当者の1日を区切ります。引き継ぎが発生しないぶん、情報は落ちません。人を増やすのは、この形で回して手が足りなくなってからでも遅くないでしょう。
分ける前のチェックリスト(7項目)
| 分業を始める前に確認する7項目 |
|---|
| □ 直近の受注10件で、初回接触から受注までの日数を数えた |
| □ 引き継ぎの15分を、商談の前日か当日の朝に予定として入れた |
| □ 15分で話す4つを、両方の担当者で共有した |
| □ 商談で決めたい状態を、受注ではない言葉で書いた |
| □ 最初の10分は聞くことに使う、と受け取る側で決めた |
| □ 失注の理由を1行で戻す道と、月1回読む時間を作った |
| □ 両方の数字を並べて見る場を、月1回確保した |
よくある質問
どちらが上の役割ですか?
上下の関係はありません。担当する工程が違うだけです。ただし評価の仕組みが受注の金額だけになっていると、実態として上下が生まれます。渡す側の指標を評価に入れているかどうかを確認してみてください。
引き継ぎの15分は毎回必要ですか?
初回の商談では毎回おすすめします。2回目以降は、受け取った側が相手と直接話しているので不要です。時間が取れない日は、相手が言った言葉の読み上げだけに絞る形でも構いません。
オンライン商談だけの場合も分ける意味はありますか?
あります。この2つは訪問するかどうかで分かれているわけではないためです。すべてオンラインでも、商談の手前と提案以降で求められる動きは違います。ただし移動の時間が減るぶん、分けずに一人で担う形も選びやすくなります。
まとめ:違いより、引き継ぎの15分
インサイドセールスとフィールドセールスの違いは、担当する工程にあります。前者が商談の成り立つ状態を作り、後者が提案から受注までを担う。訪問するかどうかは、この区別に関係しません。
そのうえで、分業が成果につながるかどうかを決めるのは、引き継ぎを工程として置いているかどうかでした。商談の前に15分の場を取り、相手が言った言葉・まだ聞けていないこと・出てくる人・決めたい状態の4つを話す。受け取った側は最初の10分を聞くことに使う。失注の理由は1行で戻し、月に1回並べて読む。この3つを決めるだけで、分業は引き継ぎとして回り始めます。
御社では、渡す側と受け取る側が直接話す時間は、月に何分ありますか。
引き継ぎの場をどう設計するか、いまの商談の流れから一緒に組み立てることもできます。600社以上の戦略設計と200社を超える導入実績をもとに、体制づくりから月次の見方までを一気通貫でご支援します。
本記事の引用・転載を歓迎します。引用の際は「株式会社XtoX」の社名と本記事URLの明記をお願いします。
BtoBマーケティング・法人営業・新規事業に関する最新のトレンドや調査レポートをお届けしております。