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統合型マーケティング&セールス支援とは?戦略から実行まで一気通貫で成果を出す仕組みを徹底解説

  • BtoB
監修
中尾 大也
株式会社XtoX 代表取締役社長 中尾 大也

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

「広告もウェビナーも展示会もやったのに、商談が増えない」。マーケティングと営業を切り分けたままでは、数字が止まる場所は見つかりません。47の施策を4つの課題に分けて並べ、自社に足りない一手を見つける手順を、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    ・ 「広告もウェビナーも展示会も、ひととおりやりました。それでも商談の数は去年と変わっていません」

    ・ 「BtoBマーケティングを始めたいのですが、何から手をつければいいのかがわかりません」

    ・ 「支援会社から提案をもらっても、その施策がうちに必要なのかを判断できません」

    統合型マーケティング&セールス支援とは、リード獲得から商談、受注、その後の関係づくりまでを切り分けずに設計し、戦略立案から実行までを一貫しておこなう支援のかたちをいいます。株式会社XtoXが自社の事業をこう呼んでいるのは、企業間の取引で数字が止まる場所が、マーケティングと営業の境目にあることが多いからです。打ち手を決めるのは施策の知識量ではなく、自社がいまどの課題で止まっているかの見立てになります。ここで扱うのは、支援の現場で使っている47の施策を、リード獲得・育成・成約率向上・認知拡大という4つの課題に分けて並べ、自社に足りない一手を選ぶまでの順序です。

    この記事でわかること

    ・ BtoBマーケティングの47施策を4つの課題別に一覧で見わたせます

    ・ 自社がどの課題で止まっているかを3つの質問で切り分けられます

    ・ 着手前にそのまま使えるチェックリストを持ち帰れます

    施策から入ると止まる

    BtoBマーケティングの相談をいただくとき、最初に出てくるのはたいてい施策の名前です。ウェビナーをやるべきか、MAツールを入れるべきか、展示会に出るべきか。どれも検討する価値のある選択肢です。ただ、施策の名前から会話が始まった案件は、半年後に「やってはみたが、商談は増えなかった」という同じ場所に戻ってくることが多いのも事実です。

    この構図は、外部に委託した場合の不満の内訳にもあらわれています。PLAN-Bの調査では、マーケティング外注先への不満の1位が「提案の実行可能性の低さ」で26.0%、2位が「事業理解の不足」で24.5%でした。品質やコストを挙げる声よりも、自社で回せない提案と、自社を知らないままの提案への不満が上位に来ています。裏を返せば、施策そのものよりも、自社の状況に合っているかどうかで評価が分かれているわけです。

    もう一つ、前提として押さえておきたい数字があります。国内でマーケティングの専任部署を持つ企業は38%にとどまり、担当者すらいない企業も20%あります。世の中に出回っているBtoBマーケティングの解説は、マーケティング組織があることを前提に書かれたものが少なくありません。組織がない状態から始める会社にとっては、最初の一歩の置き場所が書かれていないことになります。

    では、なぜ支援会社である私たちが手の内である施策一覧を公開するのでしょうか。理由は単純で、施策を隠したまま提案を受け取る状態が、さきほどの不満の1位を生んでいると考えているからです。全体像を先に渡してしまえば、提案の良し悪しはお客様側で判断できるようになります。

    BtoBマーケティングの意味

    あらためて言葉の意味を確認しましょう。BtoBは企業と企業のあいだの取引を指し、BtoCは企業と個人消費者のあいだの取引を指します。BtoBマーケティングは、前者の取引において、見込み顧客と接点を持ち、関係を育て、商談につなげ、取引を続けてもらうまでの一連の活動をまとめた呼び方になります。

    BtoCとの違いは細かく挙げればきりがありませんが、打ち手に影響するのは次の3つです。

    打ち手に影響する3つの違い
    観点 BtoB BtoC
    決めるまでに関わる人 担当者・上長・決裁者など複数 基本は本人ひとり
    検討にかかる期間 数か月から年単位になることもある その場で決まることが多い
    買う理由 社内の課題を解決するため 欲しい、試したいなど幅広い

    とくに効いてくるのが1行目です。決める人が複数いるということは、担当者が気に入っただけでは前に進まないという意味になります。担当者が社内を説得するための材料を、こちら側が用意できているかどうかが分かれ目です。稟議に通す資料、比較検討の表、他社の導入実績。これらは営業の手土産ではなく、マーケティングが作るべき成果物だと考えています。

    施策を4つの課題に分ける

    世の中の解説記事は、施策をオンラインとオフラインで分けることが多いです。ただ、この分け方は、自社に足りない施策を探すときにはあまり役に立ちません。オンラインかオフラインかは手段の違いであって、解こうとしている課題の違いではないからです。

    XtoXの支援では、施策を4つの課題で分類しています。600社以上の戦略設計のなかで整理してきた一覧が、次の47施策になります。

    4つの課題と47の施策
    課題 施策
    リード獲得 21 テレマーケティング/フォーム送信/FAX/郵送DM/手紙/ポスティング/インサイドセールス/ビジネスSNS/外注先開拓/代理店開拓/交流会/展示会/会食/紹介/SEO・MEO/HP・LP/Web広告/インフルエンサー/ホワイトペーパー/プレスリリース/コラボ
    育成 8 メルマガ/お客様の声/導入事例/公式LINE/ニュースレター/SMS/フォロー電話/MA
    成約率向上 13 商談同席/営業研修/商談シナリオ/営業資料/競合比較表/進捗管理表/SFA/カスタマージャーニーマップ/営業フローマップ/目標管理/行動管理/ロールプレイング/1on1
    認知拡大・PR 5 広報活動/メディア出演/出版/登壇/オウンドメディア

    この表を眺めると、多くの会社が「BtoBマーケティング」という言葉で思い浮かべているのは、47のうちの上2ブロック、つまりリード獲得と育成の29施策に偏っていることに気づきます。しかし、その下には商談の質を上げる13施策が控えているのです。順番を間違えると、集めたリードが商談で溶けていきます。

    この4つを分けずに見る

    4つの課題は、社内では別々の部署の話として扱われることがほとんどです。リード獲得はマーケティング、成約率向上は営業、という分け方ですね。ところが、数字が実際に止まっている場所は、その境目にあることが多いのです。獲得したリードが営業に渡らない、渡ったあとの結果がマーケティングに戻ってこない。境目を埋めないまま片側だけを強くしても、受注の数は動きません。

    冒頭で触れた統合型マーケティング&セールス支援という呼び方は、この境目を前提に置いています。600社以上の戦略設計実績と200社を超える導入実績をもとに、戦略立案から実行までを一気通貫で支援してきました。47施策を4つの課題で並べてお見せしているのも、止まっている場所を先に特定していただきたいからです。

    ですので、この記事の読み方も1つに絞ってかまいません。4つの課題のうち、自社がいま止まっている場所はどこかという一点です。その答えが出れば、選ぶべき施策は自然と数本に絞られます。

    リード獲得は足す順序で決まる

    21の施策を前にすると、どれから手をつけるかで迷います。私たちが最初に確認するのは、その会社が「待てる会社かどうか」です。

    待てる会社と、待てない会社

    SEOやオウンドメディアは、成果が出るまでに半年から1年はかかります。広告費を継続的に投じられて、その期間の売上が別の柱で立っている会社であれば、この投資は理にかなった順序でしょう。一方で、今期の受注を作らなければならない会社が同じ順序で始めると、投資期間の途中で予算が止まり、資産だけが中途半端に残ります。

    待てない会社には、こちらから接点を取りにいく施策を先に置きます。テレマーケティング、フォーム送信、手紙、展示会のフォロー。いずれも、相手が検索してくれるのを待たずに、自分の時間を使って接点を作る手段です。地味ではありますが、着手した週に架電件数という数字が動き、そこから「どの業界に刺さるのか」という一次情報が集まりはじめます。

    この一次情報が、あとから始めるSEOや広告の精度を上げます。順序としては、短期で数字が動く施策で仮説を検証し、そこで見つかった勝ちパターンを、時間のかかる施策に流し込むかたちが現実的です。リード獲得の全体像については別の記事で詳しくまとめています。

    21施策を3つのグループで見る

    待てるか待てないかで順序を決めたら、次は21の施策を接点の作り方で3つに分けます。この分け方をしておくと、いま自社が1つのグループに偏っていることに気づきやすくなります。

    リード獲得21施策の3グループ
    グループ 施策 向いている場面
    待つ(6) SEO・MEO/HP・LP/Web広告/ホワイトペーパー/プレスリリース/インフルエンサー 検索されている商材で、半年以上の投資期間を確保できるとき
    取りにいく(8) テレマーケティング/フォーム送信/FAX/郵送DM/手紙/ポスティング/インサイドセールス/ビジネスSNS 狙う相手が名前で挙げられるとき、今期の商談が必要なとき
    人づて(7) 外注先開拓/代理店開拓/交流会/展示会/会食/紹介/コラボ 導入実績があり、紹介してくれる相手がすでにいるとき

    現場でよく見るのは、待つ施策だけで組まれた状態です。広告とSEOに予算の大半が乗っていて、取りにいく施策も人づての施策も動いていません。この状態だと、相手の反応が数字でしか返ってこないため、なぜ刺さらないのかを言葉で説明できるようになるまでに時間がかかります。逆に、取りにいく施策を1つ動かしておくと、断られた理由がその週のうちに集まります。

    3つのグループのうち、日本の中小企業で最も手つかずになりやすいのが人づての7施策です。すでに取引のある会社や、同じ顧客を持つ別業種の会社に、紹介の依頼を仕組みとして置いている会社は多くありません。ここは費用がほとんどかからないぶん、着手の順番としては早いほうに置けます。

    XtoXの現場から|広告を止められなかった会社

    ある支援先で、月の広告費を先に決めてから施策を組み立てたことがありました。問い合わせは想定どおりに増えたのですが、3か月目に商談化率が伸び悩み、費用対効果が合わなくなりました。原因を調べると、問い合わせの半分が採用目的や同業からのもので、そもそも商談にならない相手でした。フォームの設問を2つ増やして相手の目的を先に聞く形に変えたところ、翌月の商談化率は改善しました。私たちの反省は、広告を止める判断を1か月遅らせたことです。数字が鈍った月にいったん止めて、リストの中身を見にいくべきでした。

    育成は接点が切れる前に置く

    育成の8施策は、獲得した接点を切らさないために使います。BtoBの検討期間が長いということは、名刺交換をした時点では検討していない相手が大半を占めるという意味になります。その相手が検討を始めたときに、思い出してもらえる状態を作るのが育成の役割です。

    ここで多いのが、MAツールから入ってしまうケースです。ツールは配信と検知を自動にしてくれますが、配信するコンテンツを作ってはくれません。まず配るものを決め、手作業でも回してみて、件数が手に負えなくなってから自動化する。この順序であれば、導入したものの使われないという事態を避けられます。MAツールの機能と導入前にやることは用語記事で整理しています。

    配るものとして効きやすいのは、お客様の声と導入事例です。理由は2つあります。1つは、担当者が社内を説得するときにそのまま使えるからです。もう1つは、自社の営業が説明しづらいことを、第三者の言葉なら伝えられるからになります。事例を営業資料の付録として扱うより、育成の主役として扱うほうが打ち手は広がります。

    何を配るかを先に決める

    配るものは、大きく3つに分けて用意します。1つ目は相手の業務に役立つ情報で、自社の商品名が出てこないものです。2つ目は導入事例やお客様の声で、検討を始めた相手が社内に見せるための材料になります。3つ目は価格や導入の流れがわかるもので、検討が進んだ相手だけに渡してください。

    この3つをそろえたうえで、配る頻度を決めます。月に1回で十分な相手もいれば、週に1回でも読んでくれる相手もいます。迷ったときは、まず月1回から始めて、開封の反応を見ながら間隔を詰めるほうが安全です。頻度を上げすぎて配信解除されると、接点そのものを失うことになります。

    なお、育成の対象は新規の見込み顧客だけに限りません。すでに取引のある会社に、別の商材や別の部署の話が届いていないことは非常によくあります。既存顧客への接点は、新規獲得よりも短い期間で商談に変わりやすいので、育成の8施策を最初に当てる先としても現実的です。

    成約率を先に見る

    4つの課題のうち、いちばん後回しにされやすいのが成約率向上の13施策です。マーケティングの話をしているはずなのに、なぜ商談の話が出てくるのかと言われることもあります。

    それでもここを先に見るのは、投資対効果がまるで違うからです。商談が月に20件あって受注が2件の会社を考えてみます。受注をあと2件増やしたいとき、選択肢は2つあります。商談を40件に増やすか、受注率を10%から20%に上げるかです。前者は広告費も人員も倍にする話になりますが、後者は商談シナリオと営業資料と比較表を作り直すところから始められます。

    実際、支援に入って最初の1か月で商談に同席させていただくと、失注の理由が価格でも機能でもないことがよくあります。商談の前半で相手の状況を聞ききれておらず、後半のプレゼンが的外れになっている。この構造は、営業担当者の努力よりも、商談シナリオという設計物で直る種類の問題です。マーケティングと営業のどちらを先に強化すべきかという問いにも、同じ考え方で答えています。

    13施策を3つの層で見る

    成約率向上の13施策も、目的で3つの層に分かれます。上から順に着手する必要はありません。自社の症状に合う層から入ってください。

    成約率向上13施策の3つの層
    施策 こんなときに使う
    商談そのものを直す(5) 商談同席/商談シナリオ/営業資料/競合比較表/ロールプレイング 担当者ごとに受注率の差が大きいとき
    案件を見えるようにする(4) 進捗管理表/SFA/カスタマージャーニーマップ/営業フローマップ 今月いくら着地するかを月末まで読めないとき
    人と行動を動かす(4) 営業研修/目標管理/行動管理/1on1 やることは決まっているのに実行量が積み上がらないとき

    順番として先に手をつけたいのは、2つ目の層です。案件が見えていない状態では、1つ目の層に投資しても、良くなったのかどうかを判定できません。進捗管理表を1枚作って、案件の確度と金額と次のアクションを毎週更新するだけでも、翌月には打ち手の議論の質が変わります。ザ・モデル型の分業を検討するのも、この層が整ってからのほうが失敗しにくいです。

    XtoXの現場から|資料を作り直す前にやったこと

    営業資料の刷新を依頼されたことがありました。すぐに着手せず、まず直近の失注案件を担当者と一緒に振り返ったところ、資料が原因の失注は多くありませんでした。実際に多かったのは、決裁者に会えないまま担当者どまりで止まった案件です。そこで資料の刷新はいったん止め、初回商談で決裁の流れを聞く設問を追加することから始めました。資料に手をつけたのはその2か月後です。順番を逆にしていたら、きれいな資料が担当者の机で止まっていたはずです。

    認知拡大は最後に足す

    広報活動、メディア出演、出版、登壇、オウンドメディア。この5施策は、効いたときの効果が大きい一方で、いつ効くかを約束できません。受注が積み上がってきて、採用や資金調達も視野に入る段階になってから足すのが、無理のない置き方になります。

    ただし、例外が1つあります。すでに指名検索が発生している会社です。社名で検索されているのに、検索結果に自社の情報が薄いままだと、せっかくの想起が取りこぼされます。この場合は、認知を広げる前に、受け皿を整えるほうが先になります。

    足りない施策を見つける3つの質問

    47の施策を前にして、自社がどこから手をつけるかを決めるとき、私たちは次の3つを順番に確認します。数字が手元になくても、おおよその感覚で構いません。

    質問1:商談は足りていますか?

    直近3か月の商談件数を月ごとに並べてみてください。目標に対して半分を切っているなら、リード獲得の21施策から入ります。逆に、件数は足りているのに受注が積み上がっていない場合、リードを増やしても状況は変わりません。

    質問2:受注率は何%ですか?

    商談件数に対する受注件数の割合を出します。この数字が自社の過去と比べて落ちているなら、成約率向上の13施策が先です。そもそも数えていない場合は、数えることそのものが最初の施策になります。進捗管理表もSFAも、13施策のなかに入っているのはそのためです。

    質問3:失注した相手を追えていますか?

    半年前に失注した相手に、いま何らかの接点を持てているでしょうか。持てていないなら、育成の8施策が抜けています。BtoBでは、その時期に合わなかっただけの相手が翌年の受注になることが珍しくありません。追う仕組みがないと、この受注は毎年こぼれ続けます。

    3つとも問題がないと感じたなら、そのときは認知拡大の5施策を検討する段階に来ています。順番としては、商談の数、商談の質、接点の維持、そして認知という並びになります。

    XtoXの現場から|3つ全部に手をつけて失速した例

    支援の初期に、獲得も育成も成約率も同時に着手したことがありました。担当者が1名の会社です。3か月目には、どの施策も中途半端なまま定例会が進捗の言い訳の場になっていきました。途中で施策を1つに絞り直し、残りは翌四半期に送りました。結果として、絞ったあとの3か月のほうが数字は動いています。人数が少ない会社ほど、同時に走らせる本数を減らすほうが早いというのが、私たちの学びです。

    見込み客は7つの段階で動く

    課題別の分類とあわせて、もう一つの見方を紹介します。買う側の気持ちは、関心、興味、連想、欲望、比較、信念、決意という7つの段階を通って動いていきます。XtoXが営業の現場で共通言語にしている考え方です。

    購買心理の7段階と、そのとき打つ手
    段階 相手の状態とサイン このとき打つ手
    関心 課題は感じているが、まだ自分からは動いていない 注意を引く。リード獲得の21施策が働く場所
    興味 資料を見る、問い合わせるなど行動を起こしている 会社の背景や実績を伝えて信頼をつくる
    連想 自社で使うとどうなるかを想像し、質問が増える 導入後の姿を描いてもらう。強みとデメリットの両方を出す
    欲望 欲しいが自社に合うかが気になり、金額とデメリットを聞かれる 料金とスケジュールを出し、懸念に正面から答える
    比較 他にいいものがないか探す。料金交渉や競合名が出る 相手が何に価値を感じているかを見極める
    信念 損をしないと自分を説得している。「検討します」が出る リスクとデメリットを先に伝え、決断を助ける
    決意 意思を固め、最後の確認をしている 契約と注意事項を丁寧に伝える

    この表でいちばん実務に効くのは、6段目の「検討します」です。あの言葉は断りの前触れだと受け取られがちですが、実際には損をしないと自分を説得している最中に出てきます。ここで追加のメリットを並べても前に進みません。効くのは、リスクとデメリットを先にこちらから出してしまうことのほうです。決められない理由を確認して、それを1つずつ消していく段階になります。

    そして、この7段階と4つの課題は重なっています。関心と興味を作るのがリード獲得の21施策、興味から連想へ引き上げるのが育成の8施策、連想から決意まで運ぶのが成約率向上の13施策です。認知拡大の5施策は、関心のさらに手前を広げる働きをします。

    重なりが見えると、施策を選ぶ基準が1つに定まります。自社の見込み客が、7段階のどこにいちばん滞留しているか。その段階を担当する課題の施策から手をつければよいわけです。逆に、滞留している段階を確かめずに施策を足すと、すでに人がいない場所に打ち手を重ねることになります。

    注意したいのは、担当が変わる場所です。多くの会社では、興味から連想のあたりでマーケティングから営業へ引き継がれます。ここで止まった相手は、追う担当が決まっていないために誰からも連絡が行きません。統合型マーケティング&セールス支援という呼び方をしているのは、この落ちている場所を先に見つけて埋めるためになります。既存顧客の深耕でも、同じ考え方を受注後の関係に当てはめて説明しています。

    詰まりを外した4つの例

    実際に詰まりを外すと何が起きるのか、支援先の例を4つ挙げます。企業が特定されないよう、業種と規模だけを記載しました。

    詰まりを外した4つの例
    会社 詰まっていた場所 打った手 変化
    食肉の卸(従業員40名・営業1名) 広告からの問い合わせが頭打ちになっていた 費用対効果の低い広告2媒体を止め、その予算をテレマーケティングに振り替えた 問い合わせが100件から150件へ
    中古住宅の買取再販(従業員8名・営業5名) 各段階の率は良好だが、来店の数が足りなかった 広告費を増やさず、地域の美容室や飲食店と組んで紹介の経路を足した 申込が10件から20件へ
    アートメイクのスクール(従業員5名) 公式LINEに登録されても無料相談に進まなかった 登録後の配信を増やし、無料相談を2回に分けた 広告費に対する売上が2倍から10倍へ
    大規模修繕工事(従業員10名・営業5名) 見積を出したあと、案件が放置されていた 見積提出から受注までの進捗管理表を作り、状況とリマインドを管理した 見積後の受注率が20%から30%へ

    4件に共通しているのは、施策を足す前に詰まっている場所を特定したという一点です。1件目と2件目はリード獲得、3件目は育成、4件目は成約率向上と、解いた課題はそれぞれ違います。

    1件目は、広告という「待つ施策」で頭打ちになったところを、テレマーケティングという「取りにいく施策」へ振り替えた例です。広告の予算を増やしていません。まだこちらを知らない層に直接あたる経路を足しただけで、問い合わせの数が動きました。2件目も同じ構造で、こちらは「人づて」の経路を足しています。地域の美容室と飲食店に、その地域の不動産屋として紹介してもらう形です。費用はほとんどかかっていません。

    4件目は、新しい施策を1つも足していない例です。見積を出したあとの管理表を1枚作り、案件の状況とリマインドを見えるようにしただけで、見積後の受注率が10ポイント動きました。成約率向上の13施策のうち、案件を見えるようにする層に手をつけた形になります。集客を増やさずに受注が増えるのは、この層の特徴です。

    ただ、同じ手が同じように効くとは限りません。数字はいずれもその会社の実績であって、他社で再現される保証はないと考えてください。参考にしていただきたいのは打ち手そのものよりも、どの段階が詰まっていたかを先に数えたという順序のほうです。

    この進め方が向かない会社

    正直に書いておくと、ここまでの進め方が合わない会社もあります。

    ・ 商材が固まっておらず、誰に売るかを探している段階の会社

    ・ 既存の取引だけで生産能力が埋まっていて、新規を増やすと納期が崩れる会社

    ・ 今月の資金繰りを優先しなければならない会社

    1つ目は、施策を回す前に売るものを決める話になります。2つ目は、マーケティングよりも単価の見直しが先です。3つ目については、成果が出るまでの時間を確保できないので、施策への投資そのものをおすすめしません。絶対に失敗しない施策というものはありませんし、いま着手しないほうがいい会社も確かに存在します。

    着手前のチェックリスト

    そのままコピーして社内で使えるよう、着手前に確認したい項目を並べました。

    BtoBマーケティング着手前チェックリスト(10項目)
    □ 直近3か月の商談件数を月別に出しましたか
    □ 商談件数に対する受注率を計算しましたか
    □ 失注の理由を案件ごとに記録していますか
    □ 既存の名刺やリストが何件あるかを数えましたか
    □ 自社が待てる会社か、待てない会社かを判断しましたか
    □ 最初に解く課題を4つのうち1つに絞りましたか
    □ 選んだ施策の担当者を名前で決めましたか
    □ 数字を確認する日を月内のいつにするか決めましたか
    □ やめる条件を着手前に決めましたか
    □ 担当者が社内を説得するための材料を用意しましたか

    よくある質問

    何人から始められますか?

    専任が1名いれば始められますし、兼任1名でも施策を1つに絞れば回ります。むしろ人数が少ないほど、同時に走らせる本数を減らすことが成果に直結します。3つ以上を並行させたい場合は、外部の手を借りるか、四半期ごとに順番を決めて送るほうが現実的です。

    成果はいつ出ますか?

    選んだ施策によって変わります。テレマーケティングやフォーム送信であれば、着手した週に接触件数という数字が動きます。SEOやオウンドメディアは半年から1年が目安です。この差を理解しないまま両方に同時着手すると、早く動くほうの数字だけで判断してしまい、遅いほうを途中で止めることになります。

    ツールは先に入れますか?

    おすすめしません。MAもSFAも、運用の型が決まってから入れるほうが定着します。先に必要なのは、何を記録するかの合意です。合意さえあれば、最初はスプレッドシートでも運用できますし、手作業が限界に来たときが導入の適切なタイミングになります。

    どこまで内製できますか?

    記録と判断は内製をおすすめします。数字を見て続けるか変えるかを決める部分は、外に出すと自社に知見が残りません。逆に、リスト作成や制作、架電の実行部分は外に出しても支障が出にくい領域です。全部を任せる形にすると、契約が終わった翌月から何も残らない状態になります。

    既存顧客にも使えますか?

    使えますし、多くの会社では既存顧客から着手するほうが早く成果が出ます。すでに取引があるということは、疑念の段階を越えているという意味になります。別の商材の案内、別の部署への紹介依頼、担当者が異動した先への追いかけ。いずれも新規開拓より短い期間で商談に変わります。新規の獲得施策を組む前に、既存のリストを一度棚卸ししてみてください。

    まとめ

    BtoBマーケティングは、企業間の取引で継続して売れる状態をつくる活動です。ただ、実務で必要になるのは定義そのものよりも、47の施策のうちどれを今月やるかの判断になります。判断の材料は、リード獲得・育成・成約率向上・認知拡大という4つの課題と、商談は足りているか、受注率は落ちていないか、失注した相手を追えているかという3つの質問でした。人数が少ない会社ほど、同時に走らせる本数を減らすほうが早く進みます。

    最後に一つだけ、私たちが大事にしている考え方を書かせてください。良いものを作る力と、売る力は別物です。作る力があっても、売る力がなければ会社は残れません。だからこそ、施策のカタログを閉じたままにせず、判断の材料ごとお渡ししたいと考えています。あなたの会社では、今月どの課題を解くかを、誰が決めていますか。

    47施策のうち、自社がどこから着手すべきかを一緒に整理しませんか。現状の商談数と受注率をお持ちいただければ、その場で優先順位の案までお出しします。

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