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クリニック経営|自費の売上を、いま来ている患者から作る

  • BtoC
  • 医療/メディカル
監修
中尾 大也
株式会社XtoX 代表取締役社長 中尾 大也

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

新しい患者を1人迎えるのに広告費が5.6万円。一方、術後の経過観察は年に何千回あっても0円です。クリニック経営の記事は集患と財務の話ばかりで、この接点の使いかたが書かれていません。案内する人の決めかたから価格の出しかた、数えかたまで、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    あるクリニックでは、広告費に月800万円をかけて、月に143人の手術を獲得しています。1人あたり、およそ5.6万円です。

    その同じクリニックでは、手術を受けた患者さんと術後に4回、必ず顔を合わせます。7日後、1か月後、6か月後、12か月後です。

    この4回にかかる広告費は、ゼロ円です。

    クリニック経営の記事を読むと、集患・財務・業務効率・離職率の話が並びます。すでに来ている患者さんとの接点をどう使うかは、ほとんど書かれていません。ここを扱います。

    自費が伸びない理由

    保険診療でクリニックが成り立っているなら、収益をもう一段上げる先は自費です。ここまでは、たいていの院長がわかっています。

    それでも伸びません。理由は3つに絞られます。

    伸びない理由 実際に起きていること 直すところ
    案内する人がいない 医師は診療で手一杯。受付は言ってよいかわからない 誰が、どの場面で渡すかを決める
    別のものとして置いている 保険の診療と自費が、まったく別の話になっている いま診ている症状の続きに置く
    数えていない 売上だけ見ている。何件案内したかは不明 案内した件数を数える

    3つとも、広告を増やしても解決しません。院内の段取りの話だからです。

    目標の10分の1で止まっている例

    当社がご支援している、日帰り手術を専門にしているクリニックです。3院あって、年間の手術は1,500件です。収入の8割以上が保険診療で、患者さん1人あたりの医療費はおよそ40万円です。
    自費診療は、年間1,200万円を目標に置いています。ところが実際は月10万円ほどで、年に直すと120万円です。目標の10分の1でした。
    院長はこう話していました。「既存の患者さんの掘り起こしは、本格的にはやれていない」。
    できていないのではなく、手をつけていない状態でした。

    このクリニックには、マーケティングの担当者がいません。理事長と、窓口の担当者が2人で実務を回しています。だから手が回らない。よくある形です。

    接点は、すでにある

    自費を始めるとき、新しい集客の方法を考えがちです。広告を出したり、SNSを始めたり、専用のページを作ったりします。

    その前に、いまある接点を数えてください。

    さきほどのクリニックには、術後の診療が7日・1か月・6か月・12か月の4回あります。年間1,500件の手術なら、年に6,000回の接点です。

    この6,000回は、広告費がかかっていません。すでに来院が決まっていて、すでに信頼されている状態です。

    新規で1人取るのに5.6万円かかる一方で、この6,000回は0円です。どちらから手をつけるべきかは、比べるまでもありません。

    まず、自院の接点を書き出してください。

    ・ 再診・術後の経過観察は、1人あたり何回あるか
    ・ 年間で、のべ何回になるか
    ・ そのうち、自費の話が出ているのは何回か

    3つ目が、たいていゼロです。接点はあるのに、使っていません。

    症状の続きに置く

    自費のメニューを考えるとき、まったく別のものを持ってこないでください。

    美容、予防、検診、栄養指導などが、よく挙がる候補です。ですが、いま診ている症状と関係がなければ、患者さんにとっては唐突な売り込みになります。

    置く場所は、いま診ている症状の続きです。

    ・ 治療のあと、再発を防ぐために本人ができること
    ・ 保険の範囲では扱えないが、同じ悩みの延長にあること
    ・ 経過観察の期間中に、状態を確かめる手段

    この形なら、案内が診療の一部として成立します。患者さんから見て、話の流れが切れません。

    さきほどのクリニックの患者さんは、40歳から100歳の男性で、中心は65歳から80歳。立ち仕事や運転の仕事など、体に負担のかかる働きかたをしている方が多くいます。

    この層に、症状と無関係のメニューを出しても届きません。いま治した部位と、これからの体の状態。そこにつながる話でなければ、聞いてもらえません。

    書ける範囲を先に確かめる

    医療の広告には、決められた範囲があります。体験談や、治療の効果を示す表現には制限がかかります。院内で渡す書面も、内容によっては広告として扱われます。

    実務としては、事実だけを並べる形が安全です。何をするか、費用はいくらか、どれくらいの時間がかかるか、保険が使えないのはなぜか、を並べます。

    ただし、どこまでが認められるかは個別の判断になります。書面を作ったら、所轄の保健所や都道府県の担当窓口に確認してください。この記事の内容は、その確認に代わるものではありません。

    広告に関わる範囲での情報発信の考えかたは、クリニックの集患の記事にまとめています。

    価格は、必要な額を件数で割る

    自費の価格を、相場から決めていませんか。順番が逆です。

    先に決めるのは、年間でいくら必要かです。

    1,200万円を、接点の数で割る

    さきほどのクリニックの目標は、年間1,200万円でした。
    接点は年に6,000回あります。仮にそのうち5%で成立するとすると、300件。
    1,200万円 ÷ 300件 = 1件あたり4万円。
    ここまで出ると、話が具体的になります。4万円で成立する中身にするのか、価格をもっと下げて件数を増やすのか。
    逆に、1件2万円のメニューしか作れないなら、600件必要だとわかります。接点6,000回の10%です。ここまでくると、5%と10%では現場の負担がまるで違うという判断ができます。

    相場から決めると、この計算ができません。その価格で目標に届くのかが、最後までわからないままです。

    なお、成立する割合は最初からわかりません。最初の3か月は、5%くらいに置いて始めてください。実際の数字が出てから、価格か件数のどちらかを直します。

    案内する人を、先に決める

    ここが、いちばん多くのクリニックで止まるところです。

    メニューは作った。価格も決めた。それでも件数が動かない。理由は単純で、誰も案内していないからです。

    医師は診療で手一杯です。受付は、自分が言ってよいことなのかわかりません。結果として、誰も口を開きません。

    誰が どの場面で 何をする
    医師 経過観察の診察中 症状の説明の流れで、選択肢として1度だけ触れる
    看護師 診察のあと 書面を渡す。「先生からお話のあった件です」
    受付 会計のとき 「ご不明な点はお電話ください」と連絡先を伝える

    医師が話すのは、1度だけにしてください。繰り返すと、診療が売り込みに見えます。

    そして、書面を渡す役は医師以外に持たせます。医師が紙まで渡すと、患者さんは断りにくくなります。断りにくい状態で決まったものは、あとで苦情になります。

    患者さんの中心が65歳から80歳なら、紙は必須です。その場で覚えてもらえませんし、家族に相談する方も多くいます。持ち帰れる形にしてください。

    渡す書面に入れる5つ

    書面は1枚で足ります。入れるのは、事実だけの5つです。

    1 何をするか(手順と、かかる時間)
    2 費用(総額。追加が出る場合はその条件も)
    3 保険が使えない理由(制度の話として、事実だけ)
    4 いつ決めればよいか(急がせない。次回でよいと書く)
    5 問い合わせ先(電話番号。担当の名前まで)

    3番目を入れてください。「なぜ保険が効かないのか」がわからないと、患者さんは不信を持ちます。制度としてそう決まっている、という事実を書けば足ります。

    4番目も大切です。「本日中に」と書かないでください。その場で決めさせると、あとで取り消しが出ます。次回の診察のときで構わない、と明記したほうが、結果として決まります。

    逆に、書かないほうがよいものもあります。他の患者さんの声、治療前後の写真、効果を示す表現です。これらは制限がかかる可能性が高いところです。事実だけにとどめてください。

    数えるのは、売上ではない

    始めたら、売上ではなく件数を数えてください。

    売上だけを見ていると、上がらなかったときに原因がわかりません。

    1 案内した件数(書面を渡した数)
    2 問い合わせがあった件数
    3 実際に成立した件数と、その金額

    3つを並べると、直す場所が決まります。

    ・ 1が少ない → 現場が案内していない。場面と担当を決め直す
    ・ 1は多いが2が少ない → 書面が伝わっていない。中身を見直す
    ・ 2は多いが3が少ない → 価格か、説明の段取りに問題がある

    最初につまずくのは、ほぼ1番目です。院内で何件案内したかを、誰も把握していません。

    数えかたは簡単にしてください。書面を渡すたびに、正の字を1画足す。それだけで足ります。システムを入れる必要はありません。

    数えていないと、何も判断できなくなる

    さきほどのクリニックでは、効果検証の仕組みが機能していませんでした。以前は患者さんへアンケートを取っていましたが、いまは止まっています。
    そのため、広告に月800万円をかけていても、どの施策が効いているかを説明できない状態でした。院長はこう話しています。「効果があったのは地域連携とDMとCMだと思うが、検証ができていない」。
    過去に外部へ依頼したときも、同じところでつまずいていました。「効果検証の方法があいまいで、何が有効かよくわからなかった」。
    数えていないと、施策の良し悪しではなく、判断そのものができなくなります。

    まず3か月、1つだけ

    始めかたを間違えないでください。メニューを何種類も同時に作らないことです。

    現場が覚えられません。案内する側が迷った時点で、口に出さなくなります。

    ・ メニューは1つだけにします
    ・ 案内する場面も1つに絞ります(たとえば1か月後の経過観察だけ)
    ・ まず3か月続けます

    この形なら、担当がいなくても回ります。マーケティングの担当者がいないクリニックでも、始められる規模です。

    3か月やって数字が出たら、次を足すかどうか決めてください。いきなり広げると、どれが効いたのかわからなくなります。

    すでにある関係から売上を作るという考えかたそのものは、深耕営業の記事にまとめています。

    広告を増やす前に

    経営が苦しくなると、広告費を増やすか削るかという話になります。どちらの前にも、確かめることがあります。

    いま出している広告で、1人の患者さんを獲得するのにいくらかかっているか。

    さきほどのクリニックでは、月800万円で143人でした。1人あたり5.6万円です。患者さん1人あたりの医療費が40万円なので、この数字自体は成立しています。

    問題は別のところにあります。その5.6万円でお迎えした患者さんが、術後4回の接点を経て、そのまま終わっていることです。

    同じ患者さんから自費で4万円が生まれるなら、実質の獲得費用は5.6万円ではなくなります。広告を増やす判断も、そのあとで変わってきます。

    順番はこうです。いる患者さんから作れる分を先に作る。広告の増減は、そのあと。

    確認リスト8項目

    1 再診・経過観察の接点が、年にのべ何回あるか数えたか
    2 そのうち自費の話が出ている回数を、把握しているか
    3 自費のメニューを、いま診ている症状の続きに置いたか
    4 年間で必要な額を、接点の数で割って価格を出したか
    5 案内する人と場面を、1つずつ決めたか
    6 書面を渡す役を、医師以外に持たせたか
    7 書面に、保険が使えない理由といつ決めればよいかを書いたか
    8 案内した件数を数える方法を決めたか

    1番と2番は、今日のうちに出ます。診療の記録を数えるだけです。

    よくある質問

    自費を勧めると、患者さんに嫌がられない?

    症状と関係のないものを出すと嫌がられます。いま診ている症状の続きにあるもので、選択肢として1度だけ伝え、決める時期を急がせなければ、通常の説明の範囲に収まります。

    どこから手をつければよい?

    再診と経過観察の接点が年に何回あるかを数えるところからです。その数が出ると、必要な価格も、現場の負担も計算できます。

    スタッフが協力してくれない場合は?

    言ってよい範囲が決まっていないことが原因のほとんどです。渡す書面と、伝える一言を固定してください。判断を現場に委ねると、誰も動きません。

    価格はいくらが妥当?

    相場ではなく、年間で必要な額を接点の数で割って出してください。同じ地域の他院と揃える必要はありません。中身が違えば、価格も違って当然です。

    広告と、どちらを先にやるべき?

    いる患者さんからです。広告費はかかりますが、すでにある接点は0円です。そこを使い切ってから、広告の増減を考えてください。

    まとめ:0円の接点から

    クリニック経営の話は、集患から始まりがちです。新しい患者さんをどう増やすかという話です。

    その手前に、使っていない接点があります。再診、経過観察。年に何千回とある、広告費ゼロの機会です。

    自費が伸びない理由は、たいてい3つです。案内する人が決まっていない。症状と切り離して置いている。案内した件数を数えていない。どれも広告では解決しません。

    まず1つのメニューを、1つの場面で、3か月。担当者がいなくても、この規模なら始められます。

    XtoXは、600社以上の戦略設計実績をもとに、クリニックの自費診療の設計から院内導線、患者への伝えかたまでを一気通貫でご支援しています。いまの患者から自費を作りたい方は、無料相談をご利用ください。

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