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LTVとは?4つの計算式と、どれを使うかの決め方まで解説

  • BtoB
監修
中尾 大也
株式会社XtoX 代表取締役社長 中尾 大也

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

LTVで検索すると意味の違う2つが並びます。顧客生涯価値と、不動産の借入比率です。この記事は前者を扱います。計算式は4つあり、どれを使うかで数字が変わります。自社に合う式の選びかたまで600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    LTVで検索すると、意味の違う2つの記事が並びます。1つは顧客生涯価値、もう1つは不動産の借入比率です。同じ3文字で、まったく別のものを指しています。

    この記事で扱うのは前者、1人の顧客が取引のあいだに会社へ残す金額のほうです。もう一方については、間違えないように1章だけ置きます。

    計算式と上げ方はひととおり押さえます。そのうえで、何年で区切るか、平均で持ってよいか、上げる前に何を数えるかまで書きます。

    LTVとは何か

    LTVは Life Time Value の略で、日本語では顧客生涯価値と呼びます。1人の顧客、あるいは1社の取引先が、付き合いのあいだに会社へ残す金額のことです。

    生涯という言葉が入っていますが、人の一生を指すわけではありません。その商品やサービスを使い続けてくれる期間のことです。ここを取り違えると、あとで出てくる「何年で区切るか」の話が通じなくなります。

    使いどころは2つあります。1つは、新規の獲得にいくらまでかけてよいかを決めるとき。もう1つは、既存の顧客に手をかける価値があるかを判断するときです。

    不動産・金融のLTVとは別

    検索結果に混ざるもう一方は、Loan to Value の略です。日本語では総資産有利子負債比率と訳されます。

    不動産のLTV = 借入額 ÷ 物件価格 × 100

    5,000万円の物件に3,000万円の借入があれば60%です。不動産投資では80%以下が目安とされ、低いほど安全と読みます。

    顧客生涯価値のLTVは高いほどよく、借入比率のLTVは低いほどよい。向きが逆なので、資料や会議で言葉が出たときは、どちらの話かを最初に揃えてください。以降はすべて顧客生涯価値の話をします。

    計算式は4つ。どれを使うか

    計算式が何種類も出てくるのがLTVの厄介なところです。違いは、どこまで差し引くかだけです。

    向いている場面
    単価 × 頻度 × 継続期間 まず桁を掴みたいとき。売上ベースなので利益は見えない
    単価 × 粗利率 × 頻度 × 継続期間 日常の判断に使うならこれ。利益ベースになる
    上の式 − 獲得にかけた費用 広告や営業の投資判断。手元に残る額が出る
    単価 ÷ 解約率 月額のサービス。継続期間を推定できないときに使う

    迷ったら2つ目です。1つ目の売上ベースは、粗利率が低い商材だと実態と大きくずれます。単価1万円を年12回、3年続く顧客なら売上ベースで36万円ですが、粗利率30%なら手元に残るのは10万8千円です。

    4つ目の解約率を使う式は、月額のサービスで便利です。単価2,000円で月の解約率が5%なら、2,000 ÷ 0.05 で4万円。解約率を1%下げると数字がどう跳ねるかが、その場で計算できます。

    何年で区切るかを先に決める

    式のなかで、いちばんごまかしが効くのが継続期間です。ここを長く置けば、LTVはいくらでも大きくなります。

    10年続く前提で計算すれば、獲得に大きな費用をかけても回収できる計算になります。ただし、その10年ぶんの資金は今日の口座にはありません。大きく出したLTVを根拠に広告費を積んで、資金が持たなくなる。これが実際に起きる崩れ方です。

    3年で切るのが実務的

    扱いやすいのは3年です。理由は2つあります。過去の実績から継続率を出せる長さであること、そして事業計画の期間とだいたい合うことです。

    3年より短いと、継続の効果がほとんど数字に出ません。長いと、根拠のない仮定が混ざります。実績のあるデータの範囲を超えて期間を伸ばさない、という線を1本引いてください。

    まだ実績がない商材はどうするか

    始めたばかりで継続期間のデータがない場合は、期間で置かずに解約率で置きます。半年ぶんの解約率が出れば、4つ目の式が使えます。

    それも取れない段階なら、LTVは出さないほうがましです。仮の数字を1つ置くと、そのあとの判断が全部その数字に引きずられます。

    平均で持つと使えない

    全顧客のLTVを平均した1つの数字を持っている会社は多いです。この数字は、報告には使えますが判断には使えません。

    理由は、顧客の分布が偏っているからです。長く続く一部の顧客と、1回で離れる多数の顧客が混ざった平均は、どちらの実態も表していません。平均が12万円でも、中身が「30万円が2割、5万円が8割」なら、打つ手はまるで違います。

    上位2割と、それ以外に分ける

    最初にやるのは、金額の大きい順に並べて上から2割を切り出すことです。その2割が全体の何割を占めているかを見ます。

    6割を超えているなら、その2割に何が共通しているかを調べる価値があります。入ってきた経路、初回に買った商品、会社の規模。共通点が見つかれば、それが次の獲得で狙う条件になります。

    経路ごとに分ける

    もう1つ効くのが、最初に接点を持った経路で分けることです。紹介から来た顧客と、広告から来た顧客では、続く期間がはっきり違います。

    この差がわかると、獲得にかけてよい金額を経路ごとに変えられます。全部の経路に同じ上限を当てているうちは、伸びる経路に投資しきれません。

    上げる4つの入口

    式が「単価 × 粗利率 × 頻度 × 継続期間」なので、上げ方も4つに分かれます。

    ・ 単価を上げる(上位プランの用意、あわせ買いの提案)
    ・ 粗利率を上げる(原価の見直し、値付けの見直し)
    ・ 頻度を上げる(買い替えの時期に合わせた案内)
    ・ 続く期間を延ばす(解約を減らす、使い始めの支援)

    効きやすい順番は決まっていません。いま自社のどこが他社より低いかで決めます。4つとも中くらいなら、続く期間から手をつけるのが無難です。ここだけは、上げると他の3つも一緒に上がるからです。

    上げる前に、離れた理由を数える

    続く期間を延ばそうとして、いきなり特典やポイントを用意する会社があります。順番が逆です。

    先にやるのは、離れた人に理由を聞いて、それを数えることです。値段なのか、使いこなせなかったのか、必要がなくなったのか。理由によって、打つ手はまるで違います。

    「使いこなせなかった」が半分を占めているのに割引を打っても、数字は動きません。この場合に効くのは、最初の1か月の支援です。

    聞き方は1問でよい

    解約や取引終了のときに、選択肢を4つか5つ用意して1つ選んでもらう。これだけで十分です。自由記述にすると、書いてくれる人が偏ります。

    大事なのは、この1問を必ず通る場所に置くことです。解約の手続きの途中に置けば、ほぼ全員から取れます。あとから任意で聞いても、答えるのは強い不満か強い好意がある人だけになります。

    3か月ぶん集めれば、どこに手を入れるべきかが数字で決まります。集めずに施策を打つと、効いたかどうかも判断できません。

    回収までの月数で見る

    LTVは総額なので、いつ手元に入るかが見えません。ここが資金繰りの話とかみ合わない原因です。

    一緒に持っておくと便利なのが、獲得にかけた費用を何か月で取り返せるかという数字です。獲得費3万円、月あたりの粗利1万円なら3か月です。

    この月数が平均の継続月数より短ければ、その獲得は成り立っています。長ければ成り立ちません。LTVが十分でも、回収に18か月かかる設計は、資金が続かなければ実行できません。

    目安として、回収月数が12か月を超えるなら、獲得の規模を広げる前に手元の資金と相談してください。総額で判断すると、ここを見落とします。

    法人向けは、会社ではなく人で切れる

    法人向けの商材でよくある読み違いがあります。LTVを会社の単位で持っていると、担当者が代わったときの離脱が数字に出てこないことです。

    導入を決めた担当者が異動する。後任は導入の経緯を知らない。次の更新で「使っていないので止めます」となる。会社としての取引は続いているように見えて、実際は切れかけています。

    対策は2つです。1つは、案件の記録に「決めた人」と「使っている人」を別の欄で持つこと。もう1つは、使っている人が社内に2人以上いる状態を作ることです。

    後者は数字で追えます。契約先ごとに、実際にやりとりのある人が何人いるかを数えるだけです。1人しかいない取引先は、その1人が抜けた時点で終わります。ここが解約の予兆として、いちばん早く出ます。

    案件の一覧表でやっていること

    取引先ごとに、やりとりのある人の名前を書く欄を作っています。数ではなく名前です。名前で持つと、抜けたときにすぐ気づきます。
    この欄を作ったあと、やりとりが1人だけの取引先が全体の4割あることがわかりました。そこから優先して2人目に会いにいく動きを始めています。数字が悪くなってから動くのではなく、悪くなる前に動ける形になりました。

    申し込みと入金を分けて数える

    個人向けの商材や、契約から入金まで間が空く商材では、もう1つ分けるものがあります。申し込みの日と、入金があった日です。

    申し込みの件数だけでLTVを積むと、実際に入る金額と合わなくなります。申し込みは増えているのに売上が伸びない、という状態はここで起きています。

    個人向けサービスのお客様でわかったこと

    申し込み日と入金日を別の列に分け、あわせて相談が1回で終わったか、2回目・3回目まで続いたかも記録しました。
    出てきたのは、相談を2回以上重ねた人のほうが、続く期間が長いという差です。1回で申し込んだ人は入金までの通過率が低く、続いた期間も短い。
    この差が見えたことで、打ち手が「申し込みを増やす」から「2回目の相談につなげる」へ変わりました。同じ集客の量でも、残る金額が変わっています。

    分けるのに必要なのは列を1つ足すことだけです。入っていない数字は、どれだけ分析しても出てきません。

    買う回数が少ない商材でのLTV

    住宅、設備、車、法人向けの大型の工事。数年に1回しか買わない商材では、LTVは関係ないと言われることがあります。実際には持ち方が違うだけです。

    こうした商材で数えるのは、繰り返しの購入ではありません。保守や修繕の依頼、次の案件での再依頼、そして紹介の3つです。

    紹介を数に入れるかを決めておく

    ここで線引きが必要になります。ある顧客から紹介された別の顧客の売上を、元の顧客のLTVに含めるかどうかです。

    含めると、紹介の多い顧客の価値が正しく見えます。含めないと、獲得にかけてよい金額を小さく見積もりすぎます。おすすめは、含めた数字と含めない数字を両方持つことです。前者は既存への手のかけ方を決めるのに使い、後者は広告の上限を決めるのに使います。

    どちらか一方しか持てないなら、含めないほうを取ってください。広告費の上限を大きく見積もる誤りのほうが、事業には効きます。

    建設業のお客様でやっていること

    商談の進み具合を19の段階に分けて管理しています。この一覧に、紹介してくれた相手の名前を書く欄を足しました。
    集計してみると、過去に紹介を1件でも出した顧客からの案件が、全体の3割を超えていました。単価だけを見て「小さい客」と分類していた先が、実は紹介の起点になっていた。
    この結果を受けて、点検の訪問を回す優先順位を変えています。金額の大きい順から、紹介の実績がある順へ。

    LTVから広告費の上限を決める

    LTVを出す目的の半分は、獲得にいくらまでかけてよいかを決めることです。

    獲得費の上限 = 利益ベースのLTV × 残したい利益の割合

    利益ベースのLTVが10万円で、その半分を利益として残したいなら、獲得にかけてよいのは5万円です。この数字が、広告の成果1件あたりの上限になります。

    成果1件あたりの費用の見かたはCPAの記事にまとめています。上限を決めたあとの運用は、そちらを見てください。

    なお、LTVを獲得費で割った数字を健全さの目安に使う考え方もあります。3を超えていれば健全、という線がよく使われます。ただし高すぎるのも問題で、獲得に投資しきれていない状態を意味します。

    数字だけで判断しない

    LTVが高い顧客が、満足している顧客とは限りません。

    解約の手続きがわかりにくくて続いている、乗り換えが面倒で続いている。こうした顧客も、数字の上では優良に見えます。この層は、競合が乗り換えを楽にした瞬間にまとめて抜けます。

    見分ける方法は1つです。金額ではなく、使われている度合いを一緒に持ちます。契約は続いているのに使用の記録がない、問い合わせもない。この状態が半年続いていれば、続いているのではなく止まっているだけです。

    どの数字を継続の指標として置くかは、KPIの記事で扱っています。

    一緒に持っておく指標

    LTVは単体では判断に使えません。次の3つと並べて置いてください。

    指標 出し方 LTVとの関係
    獲得にかかった費用 かけた費用 ÷ 新規の件数 LTVがこれを上回っていなければ成り立たない
    解約率 期間中に離れた数 ÷ 期首の数 続く期間の逆数。ここが動くとLTVが最も大きく動く
    1件あたりの平均売上 売上 ÷ 契約の数 単価の代わりに使う。契約単位か人単位かを揃える

    4つを毎月同じ表に並べておけば、LTVが動いた理由がその場で読めます。LTVだけを追いかけると、上がった理由も下がった理由もわかりません。

    使い始める前に確かめる10項目

    LTVを判断に使う前に、次の10項目を埋めてください。

    ・ 4つの式のうち、どれを使うか決めているか
    ・ 売上ベースか利益ベースかを、社内で揃えているか
    ・ 何年で区切るかを決めているか
    ・ その年数が、実績のあるデータの範囲に収まっているか
    ・ 平均だけでなく、上位2割とそれ以外に分けているか
    ・ 最初に接点を持った経路ごとに分けているか
    ・ 獲得費を何か月で回収できるかを出しているか
    ・ 離れた理由を、必ず通る場所で1問聞いているか
    ・ 法人向けなら、やりとりのある人の名前を記録しているか
    ・ 紹介ぶんを含めるか含めないかを決めているか

    よくある質問

    LTVの目安は?

    業種に共通する目安はありません。単価と粗利率と続く期間で桁が変わるためです。見るべきは絶対値ではなく、獲得にかかった費用との比です。利益ベースのLTVが獲得費の3倍を超えていれば、まず成り立っています。

    売上と利益、どちらで出す?

    判断に使うなら利益ベースです。売上ベースは桁を掴むときだけに使ってください。粗利率が3割の商材では、売上ベースの数字を根拠に広告費を決めると、3倍以上の見積もり違いが出ます。

    まだ実績がないときは?

    半年ぶんの解約率が取れるまで待ってください。取れたら、単価を解約率で割る式が使えます。データがない段階で仮の数字を置くと、そのあとの判断が全部その数字に引きずられます。

    買う回数が少ない商材でも使える?

    使えます。数えるものが変わるだけです。繰り返しの購入ではなく、保守や修繕の依頼、次の案件での再依頼、紹介の3つを積みます。紹介ぶんを含めるかどうかは、先に決めておいてください。

    上げる施策はどれから?

    続く期間からです。ここが伸びると、頻度も単価も一緒に上がります。ただし施策を打つ前に、離れた理由を3か月ぶん数えてください。理由に合っていない施策は、費用だけかかって数字が動きません。

    総額ではなく、分けて持つ

    LTVは、1人の顧客が付き合いのあいだに会社へ残す金額です。式は4つありますが、日常の判断に使うのは利益ベースの1つで足ります。

    ただ、1つの平均値にまとめた瞬間に使えなくなります。何年で区切るかを決める。上位2割とそれ以外に分ける。経路ごとに分ける。回収までの月数を一緒に持つ。分けるほど、次にどこへ手をかけるかが見えてきます。

    まず、区切る年数を決めて、利益ベースで1度出してください。そのうえで上位2割を切り出せば、次の獲得で狙う条件が決まります。

    XtoXは、600社以上の戦略設計実績をもとに、LTVの設計から単価・継続率の改善までを一気通貫でご支援しています。自社に合う計算式を決めたい方は、無料相談をご利用ください。

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