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提案の勝率を上げる|実績と相性の「見せ方」を設計する5つのステップ

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コンペの勝敗は、プレゼン当日ではなく準備の設計で決まっています。参加judgmentから、オリエンの読み解き、実績の編成、提案書の冒頭、負けた後のフォローまで——制作会社・広告会社の勝率を上げる5つのステップを、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    渾身の企画を出したのに、選ばれたのは無難な大手だった——制作会社・広告会社なら誰もが経験する悔しさです。そして敗因を「企画力」に求めて、次のコンペも同じ準備で挑んでしまう。

    結論:コンペの勝敗は、プレゼン当日ではなく、準備の設計でほぼ決まっています。発注側が見ているのは企画の華やかさより、「この会社に任せて大丈夫か」という実績と相性の証明です。この記事は、参加を決めてから結果が出た後までの5つのステップを、手順書として書きます。

    ステップ1:参加するかどうかを、勝ち筋で判断する

    最初の分岐は「出るか、出ないか」です。新規開拓の記事で書いたとおり、要件が固まりきったコンペは価格勝負になりやすく、課題の整理段階から関われる案件ほど勝ち筋があります。判断の目安は、オリエン前後に発注側と対話の機会があるか、要件に「解釈の余地」が残っているか、自社の実績と重なる業界・課題か——の3つ。全滅なら、辞退も立派な戦略です。勝率は、勝てるコンペだけに出ることで最も簡単に上がります。

    つまずきポイント:「付き合いで全部出る」が最も工数を溶かします。参加判断の基準を社内で明文化し、断る理由を営業個人に背負わせない仕組みにしてください。

    ステップ2:オリエンは「読む」のではなく「問う」

    オリエン資料に書いてあることは、全参加社が同じように読みます。差がつくのは、書かれていないこと——「なぜ、今、この課題なのか」です。質問の機会があれば使い切ってください。予算の背景、社内で誰が困っているのか、過去に何を試して何が駄目だったのか。質問の質は、発注側にとって提案前に届く最初の「仕事ぶりのサンプル」です。鋭い質問をした会社は、提案を聞く前から一段上の位置で見られます。

    つまずきポイント:質問が「要件の確認」だけで終わるケースです。確認は最低限にし、課題の背景を掘る質問を必ず1つ混ぜてください。

    ステップ3:実績は「並べる」のではなく「編成する」

    実績ページに全事例をずらりと並べるのは、編成の放棄です。出すのは、相手の業界×課題に揃えた3件まで。それぞれに、当時の課題・打ち手・結果(掲載許諾の範囲で名前と数字)を1枚ずつ。「実績が多い会社」より「うちのための実績を持っている会社」に、発注は流れます。ぴったりの実績がなければ、業界が同じもの・課題構造が同じものに分けて、「御社の案件はこの2つの掛け合わせです」と編成の意図ごと見せてください。

    つまずきポイント:許諾が取れておらず名前を出せない実績は、コンペでは力が半減します。日頃から「名前と数字を出してよい事例」を1件ずつ増やす——これは提案の前ではなく、納品のたびにやる仕事です。

    ステップ4:提案書の冒頭は、施策ではなく「課題の再定義」

    提案書の1ページ目に施策案を置くのは早すぎます。最初に置くべきは「我々は御社の課題をこう理解した」——オリエンとステップ2の質問で得た材料による、課題の再定義です。発注側の頭の中にある悩みを、本人たちより正確な言葉にできたとき、その後の施策は「数ある案のひとつ」ではなく「答え」として聞かれます。

    もう1つ、忘れられがちなのが「人」です。実際に手を動かす担当チームの顔・役割・関連経験を1枚入れてください。発注側が買っているのは企画書ではなく、この先1年付き合うチームです。相性は、見せなければ伝わりません。

    つまずきポイント:課題の再定義が、オリエン資料の要約になってしまうケースです。要約は再定義ではありません。「書かれていなかった論点」が1つ入っているかを提出前に確認してください。

    ステップ5:当日は質疑が本番。そして負けた後が次の入口

    プレゼン時間の配分は、説明を予定の7割で切り上げ、質疑に厚く残すのが定石です。説明は資料が代弁できますが、質疑への切り返しは生身の実力がそのまま出る——発注側もそこを見ています。想定質問と回答は、チームで事前に声に出して練習してください。

    そして負けたら、それで終わりにしないこと。結果連絡への返信で敗因を率直に聞き、「今後、業界の動きで参考になりそうな情報があればお送りしてよいか」と細い接点の許可を取る。今回のコンペで2位だった会社は、次のコンペで最初に声がかかる会社です。失注は、指名の入口になり得ます。

    コンペ前チェックリスト

    □ 参加判断の3つの目安(対話機会・解釈の余地・実績の重なり)を確認したか
    □ オリエンで「課題の背景」を掘る質問を最低1つ用意したか
    □ 実績は相手の業界×課題で3件に編成したか(名前・数字は許諾の範囲で)
    □ 提案書の冒頭に「課題の再定義」、後半に「担当チームの顔」が入っているか
    □ 質疑の想定問答をチームで声に出して練習したか/敗戦時のフォロー文面を用意したか

    よくある質問

    Q1. 参加社数が多いコンペは、避けるべきですか?

    社数そのものより、ステップ1の3つの目安で判断してください。ただし社数が多い=要件が固まって広く声をかけている場合が多く、価格勝負に寄りやすいのは事実です。対話の機会が一切ないコンペは、慎重に。

    Q2. 出せる実績がまだ少ない場合は?

    件数で戦わず、1件を深く見せてください。課題→打ち手→結果に加えて「なぜその判断をしたか」の思考プロセスまで開くと、1件でも仕事ぶりの証明になります。並行して、サイト上の事例の見せ方を「相手の業界の言葉」に整えることが、コンペ外の指名にも効きます。

    Q3. この手順が向かないケースはありますか?

    あります。公共案件など、仕様と評価基準が完全に固定された入札型です。この場合は関係構築や再定義の余地が構造的になく、要件適合と価格の勝負になります。本記事の手順は、民間の企画コンペ・指名提案のためのものです。

    まとめ:勝率は「当日の出来」ではなく「設計の積み上げ」

    出るコンペを選び、オリエンで問い、実績を編成し、課題を再定義し、質疑と敗戦後まで設計する——5つのステップに、天才的な企画力は要りません。要るのは準備の設計だけです。まずは直近で負けたコンペを1件、この5ステップに当てはめて振り返ってみてください。どこが抜けていたか、必ず見つかります。

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