お役立ち情報

販路拡大とは?販路開拓との違いと、方法を選ぶ基準

  • BtoB
  • BtoBtoC
  • DM
  • 新規バイヤー開拓
  • 食品
監修
中尾 大也
株式会社XtoX 代表取締役社長 中尾 大也

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

大阪府出身。幼少期に祖父が経営する建設会社の廃業を経験し、企業存続と経営の本質に関心を持つ。新卒入社したベンチャー企業では初月にトップマーケティング賞を受賞。その後、大阪支社のコンサルティング責任者として事業拡大を牽引し、社員40名から300名規模への成長と東証グロース上場に貢献。上場後はグループ企業の執行役員を歴任。2023年に株式会社XtoXを創業し、中小企業のセールス・マーケティング支援に従事。

販路拡大の方法は15個ほど並びますが、選ぶ基準はどこにも書かれていません。基準は1つ、取引先が1件増えたら月にいくらの粗利になるか。売上10.5億円の食肉卸の実例から、単価の逆算、着地の置きかた、置き換えずに「別の窓口」として入る言いかたまで、600社以上の戦略設計を行うXtoXが解説します。

・目次

    販路拡大の方法を調べると、15個ほど並んだ一覧が出てきます。ECサイト、SNS、メルマガ、広告、DM、テレアポ、飛び込み、展示会、商談会、ビジネスマッチング。

    読み終わったあと、どれをやるか決まりましたか。

    決まらないのは、読み方が悪いからではありません。選ぶ基準が書かれていないからです。

    言葉の意味はひととおり押さえます。そのうえで、1件あたりいくらの商売かで方法が決まるという基準を出します。売上10.5億円の食肉卸のお客様が、実際にどう決めたかを添えます。

    販路拡大とは

    販路拡大とは、自社の商品やサービスを売る先を増やすことです。「販路」は売り先へつながる道のことで、「はんろかくだい」と読みます。

    言い換えるなら「取引先を増やす」「売り先を広げる」です。社内の資料では「販売チャネルの拡充」と書かれることもあります。

    言葉の意味はこれで足ります。問題は、ここから何をするかです。

    販路開拓との違い

    解説記事では、この2つはだいたい次のように分けられています。

    言葉 指しているもの たとえば
    販路開拓 いままで無かった売り先を、新しく作る 飲食店だけだった会社が、小売へ卸し始める
    販路拡大 いまある売り先の数や量を、増やす 飲食店の取引先を、30店から50店へ増やす

    ただ、この違いを気にする必要はほとんどありません。実務では混ぜて使われますし、やることも重なります。

    気にするべきなのは別のところです。いまの売り先と同じ相手をもう1件増やすのか、それとも会ったことのない業種へ出ていくのか。この2つは、必要な手間がまったく違います。

    同じ相手をもう1件増やすほうが、はるかに早く決まります。売れた理由がすでにわかっているからです。

    方法を並べても選べない

    よく挙がる方法を、まとめておきます。

    種類 方法 向いている商売
    待つ ECサイト、自社サイト、記事、SNS、広告 相手が自分から探す商品
    出す DM、メール、FAX、手紙 相手の数が多く、単価が低い
    出向く テレアポ、飛び込み、展示会、商談会 相手が探していない商品
    借りる 代理店、紹介、ビジネスマッチング 売る人の顔が効く商品

    解説記事の多くは、ここで終わります。「自社に合った方法を選びましょう」と書いて締めます。

    合っているかどうかを、何で判断するのか。そこが書かれていません。

    基準は1件あたりの単価

    選ぶ基準は1つです。取引先が1件増えたら、月にいくら入るか。

    この数字が出ると、使える方法がかなり絞られます。1件で月10万円入る商売と、1件で月3千円の商売では、かけてよい手間が違うからです。

    食品卸のお客様が置いた数字

    飲食店へ肉を卸している会社です。売上は10.5億円、そのうち卸が9割。取引先の飲食店は、1店舗あたり月およそ24万円の仕入れです。粗利は15〜35%、平均で25%
    つまり1店舗増えると、月に6万円ほどの粗利です。年間で72万円。
    この数字があると、判断ができます。1店舗を取るのに10万円かけても、2か月で戻ります。訪問して、試作を出して、条件を詰める手間をかけてよい商売だとわかります。

    逆に、1件あたりの粗利が月に数千円なら、訪問はできません。その場合は、待つ側の方法しか残りません。

    ここを出さずに方法だけ比べると、必ず迷います。比べる物差しがないからです。

    単価から逆に引く

    単価が出たら、必要な件数も出ます。

    ・ 年間でいくら増やしたいか
    ・ ÷ 1件あたりの年間の粗利
    ・ = 必要な新規の件数

    さきほどの食肉卸なら、年間3,600万円の粗利を足したいとして、72万円で割ると50件です。月に4件強。

    月4件なら、まだ人の手で取れる数です。これが月に80件必要だと出たなら、人の手では届きません。その時点で、待つ側の方法へ切り替える判断ができます。

    方法より先に、着地を決める

    もう1つ、方法を選ぶ前に決めることがあります。1回のやりとりで、どこまで進めば成功とするか。

    これを決めずに始めると、現場が迷います。電話をかけた人が「アポを取るべきか、資料を送って終えるべきか」で止まります。

    同じ食品卸のお客様が決めた着地

    電話をかける前に、書面の一番上へこう書いています。
    「アプローチ着地:資料請求着地」「目標KPI:資料請求率5%」
    アポではなく、資料を送る許可をもらうところを着地にしました。100件かけて5件でよい、という置きかたです。
    そのぶん、電話の締めがはっきりします。いま必要ではないという前提を先に置いてから、こう続けます。「まずは資料を送らせていただければと思いまして、メールアドレスをお伺いしてもよろしいでしょうか」。
    相手にとっては、住所を教えるだけです。断る理由が小さくなります。

    着地を1段手前に下げると、通る数が増えます。そのかわり、送ったあとの追いかけが要ります。どちらの手間を取るかを、先に決めるということです。

    数字も、着地と揃えておいてください。資料請求を着地にしたなら、数えるのは資料請求の件数です。アポの件数で評価すると、現場は着地を無視してアポを取りにいきます。

    置き換えようとしない

    ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

    新規の取引先を増やすと言うと、いま入っている業者を追い出す話に聞こえます。解説記事も、たいていその前提で書かれています。

    相手からすると、これは重い判断です。長く付き合った先を切るには理由が要りますし、切ったあとで困る可能性もあります。だから断られます。

    3つの訴求すべてに入っている、共通の一文

    食品卸のお客様の書面には、相手の業態ごとに訴求が3通り用意されています。中身はそれぞれ違うのですが、締めの一文だけは3つとも同じです。
    「もちろん既にお付き合いのある業者様がいらっしゃるかと思いますが、別の窓口としてぜひご検討いただければと思いまして」
    切ってくださいとは言いません。2つ目の窓口として置いてください、と言っています。

    この言いかたにすると、相手が何も失いません。いまの取引はそのまま、選択肢が1つ増えるだけです。断る理由が消えます。

    そして実務では、2つ目の窓口から始まった取引が育ちます。最初は月に数万円でも、いまの業者が欠品したとき、値上げしたとき、無理を頼みたいときに声がかかります。そこで応えられれば、量が移ってきます。

    置き換えは、こちらから求めるものではありません。相手の都合で、あとから起きるものです。

    訴求は相手の業態で書き分ける

    解説記事には「ターゲットに合った手法を選ぶ」と書かれています。ここで言われているのは手法の話で、話す中身の話ではありません。

    同じ商品を売るときでも、相手の業態が変われば、刺さる一言が変わります。

    相手 言うこと なぜ刺さるか
    大手の業者と付き合っている店 値上げの頻度、仕入れの条件 大手だと条件が動かせない不満がある
    高級焼肉・鉄板焼き 和牛のタンやハラミが入る 手に入りにくい部位で困っている
    イタリアン・フレンチ ブランドと部位を指定できる 献立に合う一点を探している
    複数の店を運営する会社 配送に強いエリア、供給の安定 全店へ同じ品が届くかを見ている

    商品はどれも同じ肉です。変えているのは、最初に出す一言だけ。

    この書き分けは、3通りもあれば足ります。増やしすぎると現場が覚えられません。自社の売上の大半を占める上位3つの業態で作ってください。

    誰に当てるかを決める作業そのものは、営業リストの作りかたの記事にまとめています。

    聞くのは4つだけ

    相手とつながったとき、何を聞くか。先に決めておかないと、その場の流れで終わります。

    食品卸のお客様が使っているのは、この4つです。

    1 どの種類や部位のものを発注されることが多いですか
    2 ちなみに月に、どれくらいの量を発注されていますか
    3 差し支えなければ、いまお付き合いのある業者様はどちらでしょうか
    4 業者様を選ばれる際には、なにを重視されていますか(費用・品質・納期・対応の速さ)

    4つ目が効きます。相手が何で選んでいるかがわかると、次に送る資料が決まります。費用と答えた相手に品質の話を送っても、読まれません。

    2つ目も大切です。量がわかると、その相手が自社にとっていくらの取引先になるかがその場で計算できます。さきほどの逆算が、1件ごとにできるようになります。

    3つ目は言いかたに気をつけてください。問い詰める調子になると、そこで終わります。「差し支えなければ」を必ず前に付けます。

    断られた理由を貯める

    100件動いて、決まるのは数件です。残りの90件以上は、断られます。

    この90件を、そのまま捨てているところがほとんどです。記録に残るのは「断り」の2文字だけ。

    食品卸のお客様の書面には、注意書きとして「データベース作成のため、拒否の情報は詳しく記載をお願いします」と入っています。断られた理由を、わざわざ書き残させています。

    理由が貯まると、次の打ち手が変わります。

    断られた理由 そこから分かること
    いまの業者で満足している 置き換えを求めている。別の窓口の言いかたへ直す
    扱っていない品が要る 品揃えの穴。同じ答えが重なるなら仕入れを検討する
    配送のエリア外だった 当てる先が間違っている。リストの条件を直す
    担当が不在で話せなかった 断りではない。かける時間帯を変えて再度あたる

    いちばん下は、断りとして数えてはいけないものです。これを断りに混ぜると、成功率が実際より低く見えます。

    担当が不在だったときは、名前・部署・役職・いる時間帯・直通の番号を聞いて残します。次にかけるときの成功率がまるで変わります。

    数えるのは3つ

    始めたら、次の3つを数えてください。

    1 当たった件数(担当者と話せた数。かけた数ではない)
    2 着地まで進んだ件数(資料請求を着地にしたなら、その数)
    3 3か月後に取引が始まった件数と、その金額

    3つを並べると、直す場所が決まります。

    ・ 1が少ない → 当てる先が違うか、受付で止まっている
    ・ 1は多いが2が少ない → 訴求が合っていない。業態別の書き分けを見直す
    ・ 2は多いが3が少ない → 送ったあとの追いかけがない

    3つ目でつまずく会社が、いちばん多いです。資料を送って終わりにしています。送った相手には、必ず1週間以内に一度連絡してください。

    展示会や商談会に出た場合の数えかたは、展示会の名刺交換の記事にまとめています。

    方法は1つに絞る

    最後に、やりがちな失敗を1つ。

    一覧を見たあと、3つも4つも同時に始めてしまうことです。サイトを作りながら、SNSを始めて、DMも送る。

    こうすると、どれが効いたのか分からなくなります。そして、どれも中途半端な量で止まります。

    1件あたりの単価から選んだ方法を、まず1つだけ。3か月続けて、さきほどの3つの数字を見てから、次を足すかどうか決めてください。

    1つに絞ると、量が出せます。販路拡大でうまくいくかどうかは、たいてい量で決まります。100件では何もわかりません。

    確認リスト8項目

    1 取引先が1件増えたら月にいくらの粗利になるか、数字が出ているか
    2 年間の目標から、必要な新規の件数を割り出したか
    3 その件数が、人の手で届く数かどうかを見たか
    4 1回のやりとりでどこまで進めば成功か、着地を決めたか
    5 置き換えではなく、別の窓口として入る言いかたになっているか
    6 上位3つの業態ごとに、最初の一言を書き分けたか
    7 聞く4つの質問を、動く人に配ったか
    8 断られた理由を書き残す欄を作ったか

    1番が出ないうちは、方法を選ばないでください。ここが空欄のまま始めると、あとで比べられません。

    よくある質問

    販路拡大と販路開拓、どちらを使う?

    どちらでも通じます。実務では混ぜて使われています。分けるべきなのは言葉ではなく、いまの売り先と同じ相手を増やすのか、会ったことのない業種へ出るのかという中身のほうです。

    補助金は使える?

    自治体や商工会議所に、販路拡大を対象にした制度があります。ただし年度ごとに条件が変わるので、自社の地域の窓口で最新の要件を確かめてください。制度に合わせて打ち手を決めると、順番が逆になります。

    まず何から始めればよい?

    いまの取引先の平均単価を出すところからです。請求データを1年分ならべれば、その日のうちに出ます。

    どれくらいで結果が出る?

    出向く方法なら3か月、待つ方法なら半年から1年が目安です。待つ方法は立ち上がりが遅いかわりに、あとから効いてきます。急ぐなら出向く方法から始めてください。

    営業の人数が足りない場合は?

    着地を1段手前に下げてください。アポではなく資料請求を着地にすると、1件あたりの時間が短くなります。届けたあとの追いかけは、事務の方でも進められます。

    まとめ:単価が方法を決める

    販路拡大の方法は、どこで調べても同じものが並びます。差がつくのは、そこから何を基準に選ぶかです。

    基準は1つ。取引先が1件増えたら、月にいくらの粗利になるか。ここから、かけてよい手間が決まります。

    そして、入りかたを間違えないでください。いまの業者を切ってくださいとは言わない。「別の窓口としてご検討いただければ」と言う。相手が何も失わない形にすると、断る理由が消えます。

    育つのは、そのあとです。欠品したとき、値上げがあったとき、無理を頼みたいときに声がかかります。そこで応えられれば、量が移ってきます。

    XtoXは、600社以上の戦略設計実績をもとに、食品業界の販路開拓から商談設計、取引の定着までを一気通貫でご支援しています。新しい売り先を作りたい方は、無料相談をご利用ください。

    無料相談に申し込む

    本記事の引用・転載を歓迎します。引用の際は「株式会社XtoX」の社名と本記事URLの明記をお願いします。

    ニュースレター

    BtoBマーケティング・法人営業・新規事業に関する最新のトレンドや調査レポートをお届けしております。

      このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。